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■ピコ太郎の「PPAP」は「構成の妙」だと大発見したのであります。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ [KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第111号●2017年2月24日(金) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 少し前のメルマガ(108号)で、ピコ太郎さんのプロデューサー古坂大魔王さんの表記を 小阪大魔王と書いてしまいました。 大間違いでしたね。恥ずかしい。 大変失礼しました。申し訳ありません。 で、間違いの訂正も兼ねてピコ太郎氏の「PPAP」に関する話の続きを書きます。 前回ピコ太郎さんの話は 「仕上げがプロだから、各ジャンルのプロも認めているのだ」 という事がポイントでした。 今回は、 ●PPAPって何が面白いの? という本質について迫ります。 というのも、ネットでたまたま、知り合いが 「でも、PPAPって何がおもしろいのかよく分からん」と言ってまして。 で、その「おもしろさ」について、 コピーライター視点から解説をしたのが、けっこうウケたので、 ちょっとこちらでも紹介しようと思うのです。 実はPPAPは、 ライター的に言うと、 俳句や、文章表現における、倒置法の面白さがあって、 それが世界中に映像が到達している重要なポイントなんだと考えております。 具体的に説明すると、あのPPAPの歌詞は、 I have a pen. I have a(n) apple. nh〜! Apple pen! I have a pen. I have a pineapple. nh〜! Pineapple pen! Apple pen, Pineapple pen, Pen Pineapple Apple Pen. というものです。 ここで紹介されている「オブジェクト」を、 すごく普通に紹介するなら、 「アップルペン」と「パイナップルペン」の 二つなのだから、 1.アップル 2.ペン 3.パイナップル 4.ペン となりまして、実は PPAP ではなく、 APPPなんですね。 ピーピーエーピーではなくて、エーピーピーピーとなって、 音的にもちーとも面白くない。 ところが、それまでに演じている 「グサ」 っと突き刺すようなアクションを入れる事で、 その順番が入れ替わっているのです。 アップルペンは右手で外側に、パイナップルペンは左手に外側に。 なので、この段階で果実類がペンで サンドイッチされた順番になっていて、 歌詞の登場順とは異なっています。 ここがひとつめの「ひねり」です。 では、この「突き刺した状態」を、歌詞の登場順に読み上げたとしたら、 先に「アップルペン」を紹介してるのだから、 「ペン+アップル」+「パイナップル+ペン」 となって、PAPP の順になるのが順当なのです。 ところが! この曲は APPP でも、 PAPP でもなく、 PPAP なんですね。 ここにもうひとひねりあるというのが、 秀逸な構成転換の妙なのです。 ここでの「ひねり」は、 「登場順」で読み上げるのではなく、 ●「ピコ太郎視点」でオブジェクトを読み上げている ということなのですよ。 わかりますか? カメラの側からではなく、 ピコ太郎の側から読み上げを 行っているのです。 だからこそ、 ペン パイナップル アップル ペン の順番になるのですね。 実は「歌詞」というのはコピー表現と同じように、 文字を順番に紹介していく表現ですから、「時間芸術」なんですね。 絵画のように絵の空間にモノを配置する「空間芸術」ではないのです。 文章表現は時間芸術なので、一本の糸がずーっと続いているのと 同じ構造を持っています。 改行を入れようが何しようが、 大長編の小説だろうと、575の俳句であろうと、 全部、一本の糸です。 おそろしいことに。 一本の糸だからこそ、「順序」というのがすごく大事なんです。 なので、歌詞における言葉の登場順というのは、かなり重要な「しばり」なんです。 とくにこういうシンプルな歌詞において、登場順が変わると、 受け手に意味が伝わりにくくなるのが普通です。 コピーライターは実はそういう事をかなりこまかく気にしています。 でもPPAPは、その順序を、 映像と一体化することであざやかに「視点の入れ替え」をして、 逆転・転換を与えているわけです。 この意外性こそが、PPAPのおもしろさのキモなんですね。 ここまで説明すると分かると思いますが、実は、このPPAPの順番になる、というのは、 かなり予測不能なんです。 動画表現という、視聴者視点から、 何の説明もなしに、 ピコ太郎視点に入れ替えている。 だから、見ている側は、そのひっくり返しに気付けないんですね。 あまりに自然だから。 ひっくり返っているから、 予測している順番とは違っている。 なので驚くわけです。 そこに「意外なおもしろさ」が生まれてくるわけです。 しかも、その上! です。 実は、恐ろしい事に楽曲のタイトルは最初からPPAPであり、 ピコ太郎は登場した時に、まずPPAPと読み上げ順を明示した上でパフォーマンスしてるんですね。 もう一度PPAPの動画を見てください。 要するに最初から「ヒント」を与えてくれてるわけです。 「ああああ、PPAPってそういう事だったの!」 という驚きです。 してやられた感が出る。 だから余計に「倒置法」が強烈に効いてくるように出来ているわけです。 実は、僕も、「PPAP、なんでおもろいんやろ?」 と言うのがしばらく分からなかったので、 動画を5〜6回くり返して見たのですよ。 わからないから何度も見ちゃうというのがこれです。 で、何度か見て、やっとこの仕組みに気付いて、 そうか、そういう事だったのか! と衝撃を受けました。 (特に最初のヒントに。) ということで、PPAPの面白さの本質は、 こういう「倒置法表現」なんですよ。 音楽というのはライム、音のつながりのおもしろさですから、 「音の並びの意外性」ということに関してはピコ太郎(古坂大魔王)は、 絶対に確信的にやってるはずです。 まず間違いありません。 という事で、「どの順番で語れば分かりやすく、しかも意外性を持って印象に残るのか?」というのは、 コトバ表現のとても大事な要素です。 「古池や蛙飛び込む水の音」にしても、 「水の音蛙飛び込む古池や」じゃおもしろくないわけです。 大改造!!劇的ビフォーアフターだって、 アフターを紹介してから→ビフォーの解説されたら、 くどいだけです。 順序が大事、なんですね。 この「順序」「構成の妙」というのは、 ページ数の多い冊子ものなどで、 特に重要になってきます。 ページ数の多い製品カタログや 企業の会社案内など。 しっかりした構成がなされていないと、 「わかりやすさ」も生まれてこないのです。 ということで、キチンとした冊子ものなどを 制作される場合も、 ぜひぜひ私にお声をおかけください。 「構成の妙」で、読み手を引き込む、 というのは、やはりプロでないとできない技です。 お問い合わせは、こちらまで。 ●KID'S COMPANYへのお問い合わせ http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/company/response.htm ではでは、また次号をお楽しみに。 [了]------(2017.2.24 旧暦:睦月二十八日 ) ------------------------------------------------------------------------ ●KID'S SIGNAL バックナンバー はこちら http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/company/kidssignal/ ●メルマガ読者限定:私の制作物紹介(ポートフォリオページ) http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/company/portfolio/ ●KID'S COMPANYへのお問い合わせはこちら http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/company/response.htm ■KID'S COMPANY サービス一覧 http://kidscomp.exblog.jp/25074844/ 人手不足を現有社員でまかなうためには、印刷物による 「理念の共有」「セールストークの共有」「提案企画の記事化」が とても効果的です。ぜひご検討ください。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ コピーライティングならおまかせを! コピーライター 木田茂夫 :kids@saturn.dti.ne.jp 携帯:090-8523-4204 --------------------------------------------- ホームページ:KID'S COMPANY http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/company/ ブログ:コトノハコトバ http://kidscomp.exblog.jp/ ●文具関連ページ SD FAN CLUB http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/sd/ デジアナプロジェクト http://blog.livedoor.jp/kids1226/ --------------------------------------------- ブラインドタッチ練習ドリル WEEK 好評公開中! http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/week/ ------------------------------------------------ 木田茂夫が面白い!と思った本をご紹介 キッズボックス・ブックストア http://astore.amazon.co.jp/kids1226-22?_encoding=UTF8&node=28 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

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