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■手塚治虫は、50年前に「漫画原稿」を電話で送信していたのです。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第175号●2022年1月3日(月)
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新年があけて三日目。今年一年をどう過ごすか、イメージは固まりましたか?
昨年からいろいろ本を読んでいて、目標を定める際に「自分の想定より、うんと高い目標を設定すべし」という事が書かれているのを見て「ああ、そうかも知れない」と思ったんです。
たとえば、高校の野球部だったとして、「目標は甲子園出場!」と言うのはよくある話です。でも、甲子園出場がかかった試合でぶつかった相手の目標が「甲子園で優勝」だったとして、そのチームに勝てると思いますか? 多分、「甲子園出場」と「甲子園で優勝」なら、優勝を目指しているチームが勝つだろうと想像できます。
なので、たいていの設定目標は「寸前までは達成できるが、その手前で未達となる」ことが多いのだそうです。
おそらく甲子園優勝を目指すチームは、甲子園出場を目指すチームには勝てるでしょうけれど、「甲子園からプロに」という目標を掲げている選手のいるチームには、そうそう勝てないと思います。
この「高い目標を掲げる」という話を聞いて思い出すのは、手塚治虫が海外に出張していて、海外から漫画原稿を電話でスタッフに送信したという話です。
もう50年くらい昔の話ですから、当然ファックスなどはありません。でも、手塚治虫はそれをやり遂げたんですね。
「え?どうやって」
と思われるでしょうが、やり方はこうです。手塚さんはおそらく手書きで漫画原稿の下書きを作ったのだろうと思います。そしてそれを見ながら、まず方眼紙を用意させて、コマ割りだけをスタッフに指示します。
方眼紙があればコマ割は何センチのところから斜めに線を描け!などの指示はできるでしょう。
コマ割原稿ができたら、こんどはそこにまず背景を描かせます。これは恐ろしいことに、いままでに書いたマンガの何ページの何コマ目にこんな背景があるから、それを描けという指示の仕方だったそうです。
多分、この段階でセリフの吹き出しも位置を指定して描かせているはずです。
指示の仕方としては、車が描かれていたとしたら「その車を俯瞰で真上から見たように描け」というような指示もあったようです。
これでコマ割された原稿用紙に背景の入った、(たぶん吹き出しとセリフも入っていたと思います)原稿が出来上がります。これで締め切りギリギリに帰って来た手塚治虫は、この原稿の全ページに人物だけを描き込んで原稿を完成させ、締め切りに間に合わせた、というのです。
たしかブラックジャックの中の一話だったはずです。
恐ろしい執念と情熱だなぁと思うのです。
僕は、この情熱をこそ、学ばないといけないと思います。
そして、情熱さえあれば、理想の状態を実現するために、障害は意外となんとか乗り越えられるのではないか? と思うのです。
でも、理想を高く掲げていなければ、障害を乗り越えるための手法なんと思いつくはずもないわけです。
だから目標は高く掲げることが大切なのだ、ということなんですね。
一年の目標を設定するなら、まずこの話を思い出すと良いように思います。
ということで、今回のメールはここまで。
ではでは。
[KID'S SIGNAL No.175 -了-]
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