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【内在型コンテンツ】で、昔のビール会社の広告がすごかったんです。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第196号●2022年1月24日(月)
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1月の13日と14日に書いた「内在型コンテンツ」の話。
この「内在型コンテンツ」のとても特徴的で、広告の歴史の中でも語り草になっている「クロード・C・ホプキンスが書いたシュリッツ・ビールの広告」についてお話しましょう。
かなり昔の話。ビールは瓶に入れられて売るのが当たり前だった時代のことです。
瓶ビールの「瓶」はとても高価なもので、いまのように「容器を使い捨てにする」というような発想など、あるはずもない時代のことです。
多くのビール会社は、みんなビール瓶にビールを入れて売り、瓶は返却してもらって、またビールを詰めて販売するという「リターナブル瓶」が当たり前のことでした。
昔は酒屋にお酒の瓶を持って行って、ひと瓶10円とかで買ってもらったりしていた事を覚えておられる年代の方もおられるのではないでしょうか?
そういう時代。当時のビールは純度を最大の武器として競い合っていました。
どれだけ新鮮で、おいしいビールを提供しているかに、誰もが躍起になっていたのです。
そんな中、ホプキンスは広告を作るために、ビールの市場調査はもちろん、各社のビールの特徴の分析や、流通ルートの確認、工場を見学しての製造工程、醸造過程の確認・取材・研究をし、丹念にマーケットの調査を行いました。
そういう調査の過程で、ホプキンズは、リターナブルで市場から戻って来たビール瓶が、蒸気で洗浄されている洗浄工程を見ることになったのです。
ホプキンズはそれを見て「これだ!」と思ったのですね。
リターナブルでガラス瓶が使用されているその状況で、この洗浄工程こそがアピールするポイントだと見抜いたのです。
そして、広告の見出しに「生きた蒸気で洗われた」というキャッチコピーを付けたのです。
当時のビール会社では、蒸気洗浄はどこの会社でもやっていたことのようです。
なので、シュリッツビールの社員は、みなが「そんな広告は無駄だ。ビール洗浄なんてどこでもやっている」と大反対しました。
ですが、ホプキンスは、「ビール業界がどんなことをしているか、それは関係ない。大切なのはあなたの会社が、いま何をしているか? それを伝えて広告することだ」と言い切って、広告したのです。
結果はどうなったか? 広告は大当たり。シュリッツ・ビールは全国5位の地位から、3か月後に全国1位の座に輝いたのです。
ホプキンスの書いたコピーの中には「悪いビールと清潔なビール」という一言が入っており、他社との圧倒的な差になってしまったわけです。どこでも蒸気で洗浄していた「清潔なビール」だったにもかかわらず、です。
これはまさに「先行者利益」というべきものです。「純度競争」から「清潔さ競争」にターム(扱うテーマの期間・スパン)が変わったのですね。
実は、「内在型コンテンツ」というものには、こういう「ビリーフ(信じて疑わない常識)」を転換してしまう強さがあるのです。
常識をひとつ突き崩してしまえば、そこから先は「新しい常識」での勝負になります。これは新しい常識を作った方がたいていは「勝ち」になります。先行者利益だからですね。
ホプキンスのビール広告は、まさにそれが見事に当たった華麗な実例で、ここまでうまく行く事はそれほどないとは思います。
それでも、その「ビリーフを突き崩す新しい常識」は、あなたがいま、まさに行っている「お客さまの知らない行動」に眠っていたりするんです。
そしてコピーライターは、そんなおいしいネタがないか、いつも目を皿のようにして嗅ぎまわっているハイエナだ、ということなのです。(そうそうおいしいエサは転がってはいないんですが)
ということで、これが僕が「内在型コンテンツ」にこだわっている理由だ、という話でした。
内在型コンテンツは、つねに「ビリーフを突き崩す新しい常識」に化ける可能性を秘めているんです。だから僕はそこに注目する。
いかがでしょうか? 内在型コンテンツ、というものの大切さが、少し分かっていただけたでしょうか?
ということで、今日はここまで。
またお話していきたいと思います。
[KID'S SIGNAL No.196 -了-]
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