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スパイダーマン・ノーウェイホームはご覧になりましたか?
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第201号●2022年1月29日(土)
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個人的な知り合いならご存知なのですが、僕はかなりのスパイダーマン好きです。
なんせ最初の出合いが、1970年連載の池上遼一版(一部のストーリーは平井和正)からですから。ご存知の方はほとんどいないでしょうねぇ。池上遼一版。
その長い付き合いのスパイダーマンの映画版の新作が「ノーウェイホーム」です。直訳すると「家路なし」という意味でしょうか?
主演トム・ホランドの第三作目にあたり、三部作の最終話とも言える作品です。
アメコミ映画というのは、実は日本ではあまり人気がありません。人気がないわけではないのですが、各種アニメなどの人気に押されて大ヒットには至らないというポジションにあります。
たとえば春休みの映画館とかだと、いまなら名探偵コナンが大人気で、アメコミ映画は「その次」くらいの扱いです。
ただ、どうにも僕は日本のアニメ映画などが好きになれないんですね。なんでか? というと、単純に「サザエさん現象」が存在するからです。
「サザエさん現象」とは何かというと、ようするに「主人公いつまでたっても年取らない現象」ですね。いや、それどころか、アニメの中ではすべてのキャラクターが不滅の命を与えられていて、成長することなく、延々と同じことを繰り返しているのです。
大人気の名探偵コナンも同じことでして、毎回毎回、大爆発や墜落、沈没などの大災害がコナンとコナンの彼女の蘭の身の上に起るというのに、一度たりとも死んだことはありません。
日本のアニメはこのように「キャラクターを消費しない」のです。使い切らない。繰り返し使えるようにおでんの出汁のように、また鍋に戻すんです。
いや、それはそれで安心感があって、楽しいと言えば楽しいわけですが、キチンとキャラクターの魅力を最大限に活かしきって消費しつくした物語もたまには見たいと思うわけです。
(ちなみに、おととしから昨年にかけて大ヒットしたアニメ「鬼滅の刃」は、一切のキャラクターの使いまわしがありません。日本のアニメ作品にはかなり珍しい作品です。時代が大きく変わったのかも知れません)
で。やっとノーウェイホームの話なのですが、スパイダーマンの映画版は、つねづねキャラクターを消費しつくして映画が作られてきました。最初の三部作のトビー・マクガイア版は、彼女であるMJとの人間関係がどんどん変わって行きますし、三作目では主人公の内面の「悪」の部分も描かれたりしました。
続いてリセットされてはじまったアンドリュー・ガーフィールド版のスパイダーマンも同じく主人公は成長するし、大切な人を救えなくて死なせてしまったら、もう元には戻らないという深い心の傷が残ります。
ところが、最新のトム・ホランド版のスパイダーマンは、実は映画の中での成長は、それほど大きなものではなかったのですね。つねに、周りのヒーロー仲間から「Boy」と呼ばれ、「少年」のままの主人公でした。
そこが、長年のスパイダーマンファンとしては、なんともはがゆく、とても面白いのに、ほんの少し残念に感じる部分だったのです。
ところが!
今回のスパイダーマン、ノーウェイホームでは、やっと、少年ピーター・パーカーが、ひとりの大人としての責任と自覚を持ち、本来の悲哀を背負った本物のスパイダーマンへと成長を遂げることになったのです。
それはそれは、もう大拍手喝采ものなのであります。
すばらしい!
今回のノーウェイホームは、その他にもファンサービスは山のようにてんこ盛りだし、昔からのファンに取ってはたまらないシーンの連続で、人によっては「劇場で泣きっぱなしだった」という方もたくさんおられたようです。(映画版は2002年から製作されていますから、子供の頃から見続けてきて、その集大成とも言える作品になっていたため、感激がとても大きかったということのようです。)
この映画については、また次回も書くと思いますが、「やはり映画はキチンとキャラクターを『消費』し、主人公がまっとうに成長しないと面白くないよなぁ」と、改めてしみじみと感じさせた超名作だったと思います。
これまでのスパイダーマンを知らなくても充分に楽しめるという点でも傑出した面白さを持っていますし、本当に素晴らしいスパイダーマン映画でした。おすすめします。
ではでは。
[KID'S SIGNAL No.201 -了-]
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