スパイダーマン・ノーウェイホームについてもう少しマニアックに語ります。
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[KID'S SIGNAL]  キッズシグナル●第202号●2022年1月30日(日)
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もう「スパイダーマン・ノーウェイホーム」はご覧になりましたか？　もしまだ見ていない、ということなら、今日のメルマガは読まないようにしてください。
なんせネタバレのオンパレードの内容になるからです。

ということで、ここからネタバレしますよー。

いいですかー。

はい。ネタバレします。今回のノーウェイホームには、これまでの主役の俳優が異なる別バージョンのスパイダーマン全員が登場します。

はいネタバレ終わり。
いやー、ちょっととんでもないネタバレだと思いませんか？ こんな常軌を逸した「ネタバレ」なんてないでしょう、普通。

ヒーロー映画というものには「リブート」と言って、配役などとガラッと変えて、一から作り直しをする、ということがよくあります。古くはスーパーマンやバットマンだってそうだったし、もっと前ならターザンのシリーズだとかドラキュラ映画だとかたくさんありました。

新鮮味を求めて配役を変える、というやり方はよくあるパターンなわけですが、その歴代の配役をそのまま一本の映画に登場させる、などというのはテレビのバラエティー番組ならまだしも、一本の作品としてストーリー・物語として成立させなければならない映画においては、普通、やれるはずもないのです。

ところが！
この映画では、そういう無茶ぶりを、なんの破綻を引き起こすことなく立派にやり遂げてしまったのです。
これはもう、映画史に残る快挙だろうなぁと感心しまくっています。

しかも、すごいのは、この映画がトム・ホランド版の３部作の完結編になっていると同時に、それまでに作られたトビー・マクガイア版スパイダーマンとアンドリュー・ガーフィールド版スパイダーマンの「その後＆完結編」にもなっているところです。

これはもう、長年スパイダーマン映画を見続けてきた人間に取ってはとてつもなく素敵なサプライズだしビッグプレゼントなわけです。

その他にも、さまざまなファンサービス的な要素がたくさん入っていて、その内容の濃さに目を丸くするしかなかったのです。

しかし、本当にすごいのはそのネタバレファンサービスな展開もストーリーの一要素として消化しきっていて、物語全体としては「少年」だったピーターパーカーが、大人のヒーローに成長する成長物語としてとてもよくできていたという事。
物語構成がとてもしっかりしていたのです。

この物語構成が何故しっかりしていたかと言うと、今回の映画のストーリーがコミック版スパイダーマンの「ワンモアデイ」と言う名作を下敷きにしているからなんですね。

原作のワンモアデイとは設定などが多少異なっていますが、最終的なピーターの決断や、救われない程の悲しいラストの重さは同じ。実に見事な改作です。

この映画の監督ジョン・ワッツは、前作スパイダーマン・ファーフロムホームでも、原作のストーリーをほぼ踏襲しながら、映画ならではの味付けをしっかり施し、満足度の高い作品に仕立て上げていました。

結果的にトム・ホランドが演じたピーター・パーカー/スパイダーマンの物語は三部作として見事な完成度を見せていると思います。

そして、その上でサム・ライミ監督トビー・マクガイア主演スパイダーマン3作とマーク・ウェブ監督アンドリュー・ガーフィールド主演スパイダーマン2作の物語的決着もつけた「映画版スパイダーマンストーリー全8作」の完結作にまでなっているのです。

そういう意味では奇跡の名作、映画史に残る傑作と呼んでも過言ではないとぼくは思います。(芸術的価値というものとはまた違った基準ですが)

と言うことで、いま上映中のスパイダーマン・ノーウェイホームは映画史に残る傑作だと思いますのでぜひ映画館で楽しんでいただきたいと思います。

心からお勧めします。

ということで、今回はここまで。
ではではまた。

[KID'S SIGNAL No.202 -了-]

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