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日本人なら、詐欺師より賢く、「紙のパンフレット」を使いこなしましょう。

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KID'S SIGNAL NO:027
キッズシグナル:第27号
2015年2月17日(火)
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●詐欺師が活用するくらい、紙のパンフレットの「信頼感UP効果」は強力。

前回は、「詐欺師集団は、カラーの印刷物を使って、お年寄りから瞬間的に信頼を得る」という話をしました。
つまり、紙の印刷物は、受け取る人からの信頼を、実に簡単かつ強力に、しかも瞬間的に築き上げることができる、ということなんですね。

前回お話したように、これは、お客さまの側に「パンフレットの情報を読み取るスキル」があるからこそなんです。
詐欺師たちは、多くの人の、そういうスキルまで見越して、印刷物の機能性を賢く使いこなしているわけです。
前回の内容はそういうお話でした。

でもどうして、印刷物の機能は、詐欺師が活用するほどに強力なんでしょうか?

●日本人には「美」を愛でる文化が浸透している。

このあたり、どうも、欧米と日本との画家という存在の違いがあるように私は思うのです。
欧米での絵画というものは、金持ちのスポンサーがいて、一点ものの絵を買う、特別な芸術だったわけです。でも、日本では写楽や北斎のように、大衆が「美」を支える文化が、しっかりと世の中に根付いていたんですね。そこが大きく違います。
つまり日本では「一般人が普通に美しいものを愛でる習慣があった」ということです。

写楽や北斎の絵が大衆の娯楽そのものであり、その大衆が美しいものを愛する文化が、江戸時代の「引き札(江戸時代のチラシ)」から、今日にいたるまで、連綿と受け継がれてきた、日本人のDNAなのではないか? と僕は思います。

なので、このあたりの「感覚」は、欧米のマーケティングから来たDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)の考え方とはおおもとのところでずいぶん違ってきます。欧米では「美しい」とか「面白い」とか、そういう数値で判定できない要素はおおむね排除されます。でも、日本においては、誰もが審美眼を持っているので、この部分をおろそかにすると長期的な信頼を得にくくなるんですね。

つまりはこれ、「おもてなしの心」なのです。お客さまに手渡すものに「おもてなしの心」があるかないかを、たぶん日本人はかなり重視してるのだとおもう。

このあたりの事柄は、DTPの発展の歴史を見ても、同じような流れをたどります。

もともと、コンピュータを使った印刷であるDTP(DeskTop Publishing)は、アメリカで生まれたものです。それまで高額な費用が必要だった印刷工程を、パソコンで「机の上で行える」ようにすることで、コストダウンが図られ、それがお客さまにとっても「良い品をより安く」提供できる良い道だという考え方が猛烈なスピードで定着していきました。アメリカでは、ローコストで簡単なチラシやDMが素人デザインで、どんどん作られるようになったのです。

しかし欧米のように、1バイトコードのアルファベットさえあれば印刷工程が完結する環境とは違って、日本の印刷環境では、2バイトコードである漢字を取り扱わなければならず、DTPは簡単には定着しませんでした。なので「販促やマーケティングにおける印刷コストをDTPで抑える」という考え方も机上の空論となり、そう簡単には定着しませんでした。

●「審美眼」のある日本人に高品質パンフを手渡すことは重要な「おもてなし」

結局、DTPの技術や考え方は、日本においては、印刷データを作るグラフィックデザイナーなどのプロが「効率的に美しい印刷データ」を作るためにこそ活用されるようになりました。

つまり同じコストダウンをするのでも「素人が手軽に印刷物を作る」のではなく、「プロがすばやく効率的に印刷物を作る」事を主眼とするようになったのが日本のDTPなのです。「素人が手軽に印刷物を作る」という方向性でのDTPは、やっと最近になって数多くの美しい「プロのデザイナーがデザインしたテンプレート」のサービスが充実するようになってはじめて利用する人が増えてきたというところではないでしょうか。

確かに、漢字とアルファベットという、技術的な壁があったということも大きな理由ではありますが、やはり、「大衆が、ごく普通に美しいものを感じ取る文化があった」ということが、このDTP技術の発展方向にかなり大きく影響したのではないか? と僕には感じられます。

そして、この「日本人誰もに審美眼がある」「だからおもてなしが大切」という考え方は、おそらく、日本人なら、みんなが実感として知っていて、分かっていることなのだと思います。たぶん、わざわざ証明する必要すらない話なのではないでしょうか?「わかるでしょ?」と言われれば、たぶん日本人ならみんな「うん、わかる」とうなづいてしまう。その手の話なのだと思います。文化というものはそういうものなのです。

だから、印刷物を作るのなら、「高品質なものを作りましょう」というのが、僕からの提案です。
デザインが印象的で、コピーライティングが的確、かつ印象的で「確かに良い商品だなぁ」と感じさせる表現技術というものは、はっきりと存在しているのです。それは素人がすぐに真似できる類の表現ではないですし、やはりプロの技でなければなしえないものだったりもします。でも、手の届かない技術ではなくて、発注いただければすぐにでも制作にとりかかれるものでもあります。

そういう品質の高さがあるからこそ、印刷物は手に取った瞬間に「あ、これは良い商品だなぁ」とお客さまに感じていただけるわけですし、そういうパンフレットなどの印刷物を作ろうと思った企業のことを、お客さまは「私をおもてなししてくれた、良い会社だ」と感じてくれます。そしてそれは、理屈ではなく、感情的に認めてくださるので、長く、ずっとあなたの商品・サービス・企業の事を良い印象で記憶してくださることになるわけです。

このところ、ずっと数字で反応を取る「ダイレクトレスポンスマーケティング」の勉強を続けていたがゆえに、逆にいままでやってきた自分の仕事の価値についても再評価できるようになってきました。

もし、あなたの会社が印刷物よりWEBに力を入れていたり、チラシやパンフレットを社員による社内制作でプロの「おもてなし」をしていなかったりするのであれば、少し考え直してみても良いかもしれません。

お客さまとの真にリラックスした信頼関係構築に、おそらくとても大切な事だろうなと、僕は考えています。

[了]
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