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「ワイプ」という映画ならではの表現についてご存知ですか?
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第272号●2022年4月10日(日)
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%name_sei%さん、こんにちは。
昨日、回想シーンに絡めて、スターウォーズの話を書いたので、今日はスターウォーズの表現技法について、少し書いてみたいと思います。
昨日、スターウォーズの1~6には回想シーンがなく、7~9は回想シーンが物語の中心にあるという構造の違いを紹介しました。
あまり、こういう事を書く人は少ないと思うのですが、スターウォーズマニアというような人の間ではけっこう語られている話だろうと思います。
この「回想シーン」と同様に、監督が変わった「1~6」と「7~9」の間では、もうひとつ大きな違いが生じていました。
それは「ワイプ」です。
ワイプというのは、映画のカット替えの手法で、カーテンを引くような感じで、異なる場面を右から左、あるいは上から下など、刷毛で塗るように二画面を切り替える表現です。
実はこのワイプ手法というのはスターウォーズでは多用されているのですね。これは小説などで言えば「一方そのころ××では」というような「場所の転換」で行われることが多いのです。スターウォーズの「1~6」では、この場所の転換を表すワイプ手法がとにかく多かったのです。多い時は一本の映画の中で120回も使われていたそうです。
ところがスターウォーズ「7~9」では監督・脚本が変わったせいで、たったの12回というようにワイプ手法が激減してしまいました。
僕はこういうところがものすごく残念で、正直「7~9」はまともなスターウォーズとすら思っていないくらいなのです。
スターウォーズの生みの親であるジョージ・ルーカスが、なぜこんなにワイプ手法を多用したかと言うと、実は黒澤明がワイプを良く使っていたからなんですね。
少年ジャンプの大ヒットマンガである「鬼滅の刃」が、回想シーンを多用できたのが「コマ外の黒ベタ」という、ここは回想シーンだよ、というお約束を活用したからだ、ということを昨日紹介しましたが、ジョージ・ルーカスも、同じように先人が開発した表現手法を上手に作品に生かしていた、ということなのです。
こういう基本的な「お約束」というものは、お客様とともに共有することで、あらたな表現力と可能性を押し広げます。つまりそこに「ルールを共有しているお客様がいる」ということなわけです。
ここを頭にいれているからこそ、先人の知恵をそのまま活用・流用して、面白さを拡張していけるのであって、そういう先人へのリスペクトなしに、本当に面白いものなんか作れるわけがないのです。
今日は、スターウォーズの「ワイプ」について書いてみました。スターウォーズを鑑賞しなおしてみるとか、あるいは他の映画でワイプが出てきたりしたら、「ああ、これがワイプだな」と気づいてもらえればうれしいです。
ということで、今日はここまで。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.272 -了-]---------------
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木田 茂夫 :kids@kidashigeo.com
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