バックナンバー一覧に戻る



嘘をつきました。ごめんなさい。でも、嘘の情報で自分の身を守っている団体もいます。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ [KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第324号●2022年6月1日(水) _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ %name_sei%さん、こんにちは。 今日は謝らないといけないことがあります。 実は昨日「今日から皐月」と書いてしまいましたが、間違いでした。本当は5月30日から皐月でした。 ここに、お詫びして訂正します。 もうしわけありませんでした。 で、「嘘を着いたことを謝る」という話で、ふと思い出したことがありました。 ちょっと今日は政治的な話に流れてしまうんですが、エネルギー問題に関してです。 えっとですね、意外に日本のマスコミでは、 「自然エネルギーを導入したドイツでは、さまざまな問題を抱えて政策転換をしなければならなくなった」 とかですね、 「自然エネルギー導入のために、政府が市場に介入するFIT制度を制定したことによって電気料金は高止まりした」 という論調が主流になっていたりして、あたかもドイツが自然エネルギー導入で大失敗しているかのような印象操作をしていたりするんですね。 でも、これ、とんでもない「大嘘」なんです。 まず「FIT」制度に関してなんですが、これは「フィード・イン・タリフ」という言葉の略で、「税金によって食わせる」という意味合いになります。 どういう政策かというと、実は「わざと電気料金を高額にする」という政策なんです。 「なんだそれ?」 と、思いました? でも、本当のことなんですよ。というのは、太陽電池などの自然エネルギーを普及させるには、個人が自分の家の屋根に太陽電池パネルを置かなければなりません。 しかし、当時は(もう15年くら前の話です)まだ、太陽光パネルが高くて個人では手を出せなかった。太陽光エネルギーというのは、そもそも「無料」でエネルギーが手に入る仕組みですから、ドイツ政府はなんとかエネルギー政策の柱として導入したかったわけです。「無料」ですよ、「無料」。絶対得するに決まってるんです。否定する方がバカなんです。 ただ、パネルの値段が高いと、個人としてはトータルで損をしてしまうんですね。たとえ20年以上「無料」の電気がもらえたとしても。 ただし、太陽電池を個人が導入すると、あまった電気を「売る」ことができるんです。個人が太陽電池を持つことは、実は「個人で発電所を運営している」のと同じことになるわけです。 つまり、電気の使用者ではなく「供給者」でもある、ということになるんです。 そういう状況で「電気料金を意図的に値上げ」したらどうなるか? というと、「売電したら、かなり儲かる」ということになるんです。そうなれば、高額の太陽光パネルを購入して設置しても、そのイニシャルコストをラクラク、ペイできてしまうわけです。 逆に太陽光パネルを導入せずに、いままで通り発電所からの電気の「購入」だけで生活する人はどうなるか? というと、電気料金がバカ上がりして、たまったものではない!となるわけです。 つまり「太陽電池を導入したら天国。しないと地獄」という環境を、「意図的に」作ったんですね。 ドイツは、この FIT制度のおかげで、制度導入から、一気に太陽電池システムの導入に成功し、国のエネルギー政策の大転換をあっと言う間になしとげたんです。 そして、この「FIT」の仕組みは、太陽光発電などの自然光エネルギーシステムを国に根付かせるための「定番政策」になってるんですね。全世界で。 でも、実は、日本では、この「FIT政策」が導入されていないのです。 いや、自然エネルギー推進派が「FITを導入しろ!」と騒ぎ立てたので、いちおう形だけは導入したのですが、値上げ幅がものすごく小さくて、ほぼほぼ無意味な政策になってしまいました。 もともと自然エネルギーを導入しようという意気込みに欠けてるんです。 日本の場合は「原子力ムラ」と呼ばれる利権集団が、自分たちの利益のために社会的な構造が変わる事自体を嫌う傾向が、ものすごく強いんです。 なので、「FIT」の「電気料金を上げる」部分だけを取り上げて、あたかも「世の中が悪くなってしまう」かのような記事をマスコミの記者たちに書かせるんです。 ひどい話でしょ? 最初に上げた「ドイツは政策転換をしなければならなくなった」というのも、FITによって自然エネルギー導入に成功したからこそ、今度は「余っている電力をいかに有効活用するべきか?」という課題に政策転換をしなければならなくなった、という話で、超、超、先進的な取り組みの話なんです。 いまやクルマは電気自動車になっていきますから、実はクルマは「家庭用の巨大充電池」になるのです。 ドイツのフォルクスワーゲン社などは、もう今後は自動車会社ではなくて「家庭用巨大充電池販売メーカー」になるわけなので、その全家庭の充電池をモニターし、管理することで「あまった電気を足りない地域に割り振りする会社」となって、「家庭用電気の完全無料化」を成し遂げるメーカーに変身しようとしています。 そういう時代に向けた政策転換が必要なのであって、それは成功したからこそ、次のレベルに進化する必要があるという至極まっとうで前向きな政策転換なんですね。 ところが「政策転換しなければならなくなった」という言い方を強調することで、あたかも自然エネルギーはドイツでも失敗したのだ、という風に読めてしまう記事に変わっていたりするわけです。 もう、バカの極みです。 どんな分野でも国際的な政策の研究会のようなものはあって、そういう知識人の間では、成功した政策は共有されて常識となります。 こういう知識人の常識のことを「ディスコース」と言って、物事を確実に進める手段として各分野で定着しているというのが世界的な専門家の当たり前の判定基準になっているわけです。 ところが! 日本では、こういうディスコースは、なぜかものすごく嫌われるんですよねぇ。 なんか、自分が無知であるとかバカであるとか、罵られているように感じるんでしょうか? よく分かりません。 ともあれ、そんなこんながあって、日本では自然エネルギーに関しては「ドイツは失敗した」という印象操作が行われていて、これがまたけっこう定着していたりするのですよ、恐ろしいことに。 このあたり詳しい話は、 エネルギー進化論―「第4の革命」が日本を変える (ちくま新書) 新書 - 2011/12/1 飯田 哲也 (著) https://amzn.to/3m3gmsa という書籍に詳しいです。 エネルギー政策に関しては、まずこの本を読んでから考えてほしいなぁと思いますね。 ということで、今日はここまで。 ではまた明日。 --------------[KID'S SIGNAL No.324 -了-]--------------- もし、僕のメルマガを面白いと感じてくださったら、 共感してくれそうなご友人に、以下のアドレスとともに、 メルマガを紹介していただけると嬉しいです(*^_^*) よろしくお願いします! ●メルマガ:KID'S SIGNAL/ブログ:コトノハコトバ 記事サンプルと登録ボタンのページ http://www.kidashigeo.com/kotonohaselect.htm いつもありがとうございます。 木田 茂夫 :kids@kidashigeo.com

バックナンバー一覧に戻る