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「タッチタイピング」などという呼び名を使ってはダメだよ、という長い長いお話をします。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第423号●2022年9月8日(木)
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昨日は、ブラインドタッチに関して、多くの人が
「もっと高速で打てるようになったら、完全ブラインドタッチになる」
と考えていて、それはかなり大きな間違いなのだ、という話をしました。
ゲームタイプの練習ソフトで練習して、「チラ見」するクセがついている「ニセブラタッチャー」は、キーボードを「チラ見」するから、ディスプレイから目を外してしまうと。
その結果、いま書いている文章や、これから書こうとしている文章を覚えておくしかなく、それを頭の中に入れて置いて「忘れないうちに打とう」と思うから、急いで入力しなくてはいけなくなるんだ、という話でした。
どうも、世間的には、「キーボードを一切見ずに文章入力する」ということが、いまひとつ理解されていないのではないか? と僕には思えてならないのです。
そういう「世間の気分」を感じるのが、
●ブラインドタッチと呼ばずに「タッチタイプ」という呼び名を使う
という潮流です。
もともと、ブラインドタッチの呼び名は、大正時代にタッチメソッド、昭和の初期にはタッチシステムという呼称が使われていたようです。
そして、時代が降りてきて1989年に「触指打鍵」(しょくしだけん)と「目視打鍵」という「触って打つ」「見て打つ」という対義語が論文として出ていたということもあったようですが、僕はパソコン登場以前のタイピングの名称など、まったく意味がないと考えています。
そして、ブラインドタッチもタッチタイプも、どちらも起源がはっきりしない呼び名なんですね。
はっきりしていることは、ワープロ・パソコンが登場してきたころは明確に「ブラインドタッチ」と呼ばれていたのに、いつのまにか「タッチタイピング」と呼び名が変わってきたという歴史的事実です。
そして、この名称の変遷は、おそらく「パソコンを利用する裾野」の違いが大きいだろうと考えられます。
Windowsパソコンやインターネットの登場で、「とにかくパソコンを使わないといけない」という人も増え、なんでもいいから我流で使う、というシーンが、1990年代から一気に増えていったわけです。
「ブラインドタッチ」という呼び名が普通だったころは、ワープロ検定などもあり、「ブラインドタッチ」という名称は「原稿を写植などに入力する専門の人の技術名称」だった部分が大きいのです。
つまり、ざっくり言って「ブラインドタッチ」という呼び名は専門家が使う呼称、「タッチタイプ」は「ニセブラタッチャー」が使う呼称と考えると、とてもスッキリするのです。
いまでもそうですが、昔は特に、ワープロ・パソコンを本当にキチンと使いこなそうと思ったらキーボードを正しく使える事が重要でした。
そして文字入力を行うために、もっとも大切なことは「キーボードを絶対に見ない」ことだったんです。
しかし、パソコンが普及するにつれて、とにかくそういう基礎は置いておいて、体当たりでパソコンを使うような人が急激に増えたのだろうと思います。
そういう人たちにとっては「ブラインドタッチ」というものが「絶対にキーボードを見ないようにして修得する技術」だということが理解できなかったのだと思われるのです。
なんせ、いきなり単語を打つ「チラ見」しないと練習できない「ゲームタイプの練習ソフト」が大ヒットしていたわけですから。
そうやって「チラ見」しながら、入力スピードが速くなってくると「ブラインドタッチ」という名称の「ブラインド=盲目=一切見ない」という部分の表現に抵抗感が生まれたのだろうと考えられます。
だって、実際には「見て打つ」ことしかできないわけですから。
そこでいつからか「タッチタイピング」という言葉が抵抗感も少なく定着していった、ということだろうと思うのです。
しかし、キーボード活用をしっかり行っている人間からすれば「手元を一切見ない」ということは、死ぬほど重要な項目ですから、「タッチタイピング」という名称にはかなりの違和感を覚えるのですね。
で、なぜ「タッチタイプ」などという、修得にもっとも重要な「手元を一切見ない」という概念の抜け落ちた名称が使われるようになっているのかが、不思議で仕方なかったわけです。「ブラインドタッチ」を「タッチタイピング」に言い換える理由を聞いても出てくる言葉は「目の見えない方に刺激を与えるから」というようなよく分からない理由だったりします。
僕はハッキリ言いますが、「ブラインドタッチ」という名称における「ブラインド」という単語は、盲目のピアニストのように「目が見えないからこそ素晴らしい結果を残すような盲人の方」へのリスペクトがベースになっているのだと考えています。
だから、この「リスペクト」すべき「一切キーボードを見ずに入力する」という概念の抜け落ちた「タッチタイプ」という言葉の方がはるかに差別的だと思っています。
ともあれ、いろいろなブログなどを読み漁るうちに、やっと最近「そうか、一切手元を見ないで打つ、ということを信じられないような人がたくさんいてるのだ」と気付いたのです。おそらくは「タッチタイピング」という言葉は、そういう、多くの「ニセブラタッチャー」たちの実感での名称なのだと思います。
なので、今後、このメルマガでは「タッチタイピング」という呼称は一切使いません。
やはり「キーボードを一切見ない」という最重要ポイントが含まれている「ブラインドタッチ」という名称でないと、意味をなさないとおもうからです。
ということで、長くなりましたので、今日はここまで。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.423 -了-]---------------
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