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小林カツ代は、本物だと思いませんか? 一発でそれが分かるシーンをテレビで見ました。
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ピンときたこと、ちょっとお知らせ!
[KID'S SIGNAL] キッズシグナル
2015年8月5日(水) NO:046
旧暦: 水無月(六月) 21日(更待月)
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いかがお過ごしですか? 実は、今回から、メルマガのタイトルロゴに旧暦表示を入れてみました。
太陽暦と太陰暦、その差や月の形などをイメージしていると、時間のとらえ方が複層的になって、毎日が少し豊かになるのではないかな? と思っております。
さて。今日は「本物のプロ」についてのお話です。
ひと月かふた月ほど前、テレビを見ていると、NHKの「きょうの料理」で、お亡くなりになった料理研究家の小林カツ代さんの特集をしていました。
多少料理には興味がある方なので、見るともなく見ていたのですが、その作られる料理の簡単さと、その割に「どう考えてもウマいやろ、この料理!」と思わざるを得ない仕上がり具合を見ていて、「ああ、多くの人から愛されていた料理人だったのだろうなぁ」と思わざるをえませんでした。
世の中には、本物の人と、本物ではない人がいると僕は思うのですが、この小林カツ代さんは、間違いなく本物だなぁと、直観するシーンが、その番組の中にありました。
それは、具材を炒める時に、フライパンを振って空中でひっくり返すあの動作です。
具材を混ぜ合わせ、温度を均一にすることもできるので、フライパンを振る動作は便利なものですが、これを鮮やかにやると、けっこう「料理ができる」ように見えるものです。
芸能人が料理を披露する時などは、「手馴れているよ」というアピールのためにやっている人場合もあるのではないでしょうか。
さして難しくはない動作ですが、うまくやれれば、けっこうカッコ良いものではあります。
で、これを小林カツ代さんがどうやったかと言うと、いきなり両手鍋なんですね。両手鍋を両手で持って、よっこらせ、という感じで振って、具材を空中に浮かせ、ひっくり返した。
なんかダサいやり方やなぁ。
と思ったのですが、それをやりながら、小林カツ代さんは、「みんなね、これフライパンでやるから外に飛び散ったりするのよ。両手鍋だとね、簡単だから」とさらりと解説。
あ、そうかと僕は感心したわけです。別にフライパンでやらなくてもいいんだし。で、確かに両手鍋を両手で持てば、小柄な女性が、家族全員の分の重い食材でも、一気にザッとひっくり返せるでしょう。
こりゃいいアイディアだ。
と思ったわけです。
でも、小林さんのすごさはそれだけではなかったのですね。「みんなね、これ、難しいとか言うでしょう? 外に飛び散ったり。でもね、簡単なの、見るの。具材をしっかり見て振るの。そしたら、ちゃんとひっくり返せるから。」とひっくり返し方のコツまで、伝授されてたわけです。
僕はこの「見るの」の一言にやられました。
すごい! この人は本物や!
と思いました。
フライパンで具材をひっくり返す技術なんて、言葉で説明しようと思ったら、それはそれは大変な手間が必要です。嘘だと思ったらネットで「フライパン」「具材」「返し方」とかで検索して見てみればいいです。
写真を3枚も4枚も使って、で、そのそれぞれのタイミングでの手首の返し方だのなんだのゴチャゴチャゴチャゴチャと書いてますから。
でも、小林カツ代さんは違います。
まず「重さ」の問題を両手鍋で一気に解消した上に、たった一言「見るの」です。
ただそれだけで、この「具材ひっくり返し」を的確に視聴者に伝授してしまっています。
すげぇ! と。
そう思うしかありません。
おそらく多分、具材をキチンと見て両手鍋を振れば、具材は見事にクルンと回ってくれるに違いないのです。
僕もフライパンで何度も具材のひっくり返しをやっているから、直観的にわかりました。
そして、この「体験して体得するしかない技術」を、映像という便利なメディアではあるものの、たった一言、「見るの」という教えだけで伝えきっている、というのは、普段から「普通の主婦が手軽においしい料理を作れるように」と、ずっとずっと、いつも考え続けているからに違いないと確信できたわけです。
そうでなければ、この「見るの」の一言は出てきません。
この人を想う、優しさと、便利でおいしい調理法を考える情熱。とにかく総合的に素晴らしいなぁと感心しまくったのであります。
コピーライターとして、僕も、この「見るの」くらいまで究極の適切な一言を、紡ぎだせるようにしたいものだと思います。
では、また。
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