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推理小説の始祖、ポーの「モルグ街の殺人」は、ほとんどシャーロック・ホームズなんですよ。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第656号●2023年5月17日(水)
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%name_sei%さん、こんにちは。
昨日はルパン三世のファーストシーズンでルパンの設定を宮崎駿がフランス人貴族からイタリアの若造に変えてしまった、それが許せんという話をしました。
ただ、これはリアルタイムで観ていた時は、ただただ「後半、クソみたいにつまらんな」と感じただけで、後から設定の話を聞いて「宮崎駿って最低」と思った、というだけの話で、実はまだ「カリオストロの城」まで話はつながってないのです。
ただ、ちょっと後から知ってかなり腹が立ったのが何故なのか、昨日からちょっと考えていて自分で気付いたことがあるので、書いておきます。
それは「謎解き物語、という形式の系譜を無視しているから」なのだと気付いたのですね。
そもそも、ルパン三世の元ネタになったアルセーヌ・ルパンというお話は、「推理小説」というジャンルから、少し外れた「冒険もの」とか「ピカレスクロマン(悪漢小説)」にバリエーション展開された作品になります。
でもまぁ、基本「謎解き物語」という枠には入っているんですね。
で、こういう謎解きものの始祖と言えば、なんといってもエドガー・アラン・ポーでして、そもそも推理小説という形式を生み出したのがポーだ、と言われています。
(諸説いろいろあるようですが詳しくは知りません)
推理小説の始祖だと言われているのが「モルグ街の殺人」でして、ここにはわずかな証拠から人の心理を読み切ってしまうオーギュスト・デュパンという「探偵」と、名前の登場しない「語り手」が登場します。
この構造、どこかで聞いたことはないですか?
そうです。シャーロック・ホームズの物語構造とそっくりですね。
これは「モルグ街の殺人」が書かれた数十年後にコナン・ドイルが形式を踏襲してシャーロック・ホームズを書いたという経緯があるわけです。
つまりパクりです。
そして、知っている人は知っていますが、シャーロック・ホームズがイギリスで誕生して数年経ったあとに、フランスでモーリス・ルブランがアルセーヌ・ルパンという怪盗を生み出したわけです。
そして、これまた、知っている人は知っていますが、アルセーヌ・ルパンの宿敵は、実はシャーロック・ホームズなんですね。これは、モーリス・ルブランが勝手にシャーロック・ホームズをパクって自分の小説に登場させちゃったのがはじまりです。
まぁ、その後、ルブランが、探偵の名前も性格もかなり変えましたけど、日本の翻訳本ではストレートにシャーロック・ホームズと訳されていたりしたのですね。
こういう設定の受け継ぎとか、ほぼパクりの流れがあって、それで「ルパン三世」なわけです。
ルパン三世にはルパンだけでなく石川五右衛門も銭形警部も出てきて(シャーロックホームズも原作には出てきます。)、いわばオールスターキャストなわけです。まさに「パクりの祭典」とも言うべき内容です。
なんと言うか、この「推理小説」および、その周辺小説には、そもそもお話の構造やキャラクターをまねて活用する、というのが、ひとつの流れにすらなっているわけです。
そもそもの話をすれば、「謎解き物語」である推理小説というのは、その物語形式自体がポーが創出した形式のパクりですから、このジャンルは、まさにパクりで成立していると言っても良いくらいなわけです。
では、なぜこのようなパクりが「盗作騒ぎ」になっていないか? というと、ひとつにはそもそもの始まりであるシャーロックホームズ自体がパクりであり、そんなことを言っていたらジャンル自体が成立しなくなってしまうこと、これがひとつ。
そしてもう一つは「決して引用元の作品を侮蔑せず、愛情をもって引用する、リスペクトがあるから」ということになります。つまり好きだから真似ちゃった、という作品への愛情がベースにある、ということなんですね。
多かれ少なかれ、謎解きものの物語には、この種のリスペクトが存在します。
そのリスペクトこそが、この「謎解きもの」というジャンルの興隆の根幹だろうと思うのです。
でも、フランス人の泥棒貴族を、フランスの若造に設定変更してしまう無粋さには、その肝心の「物語世界の系譜へのリスペクト」が感じられません。
ここ、かなり重要なんです。
そもそもの、モンキー・パンチさんが描いていた原作版「ルパン三世」には、そのリスペクトがあった。リスペクトのかたまりと言っても良いくらいです。
ところが、宮崎駿には、それはないんですね。
これはかなり気に入りません。少なくとも僕は。
ということで、この項、まだ続きます。
--------------[KID'S SIGNAL No.656 -了-]---------------
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