バックナンバー一覧に戻る



ブランドは、乱暴に要約すれば「目印」の事なんだと改めて実感しました。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
      [KID'S SIGNAL]  キッズシグナル●第68号●
      2016年2月19日(金)  /  旧暦:睦月(1月)12日  
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

さて、実は先日から、喫茶店を経営している血縁関係の方がいて、その方のお店のメニューやら看板やらをボランティアで制作しておりました。
本来デザインなどは行わないのですが、この数年、とにかくどんどん売り上げが落ちていて、経営が苦しいという事でしたので、多少は販促物に関して分かっている私がお手伝いしてさしあげようという事にしたわけです。

それで、お話をうかがっていると、逆に僕が色々と学ぶことができたので、その学びのシェアをしたいなと思って書いてみます。

その喫茶店のママさんが困っていたのは、まず、お客さまに場所を伝えられない、という事でした。

というのは、そのお店は、地下鉄と直結されているビルの地下エリアにあって、地下鉄の改札からのお客さまにアピールしやすい立地なのですが、奥まった場所にあるので、立て看板からの誘導がうまくいかない、というお話だったのです。

手書きの立て看板を、改札から見えるところに置いてあり、見てはもらえているのですが、乗客の方がお店にまで来てくれないのです。
仮に立て看板に書いてある日替わり定食のメニューに気づいてもらえても手前にある別の喫茶店に入ってしまう、というお話でした。

「『つきあたり奥』って書いてあるんやけどね。もっと大きく場所を書いておかないとわからへんかな? 地図描くとか」

と、そのママさんは繰り返し「場所をどう知らせるか?」という課題の解決策を聞いてこられるのです。

「いやー、そういう事じゃないよなぁ」と思いつつ、どう対処したものかけっこう悩んでいたのです。というのも、その喫茶店は、ドアに店名が書かれてはいるのですが、名前を掲げた電飾看板というものがなかったからです。

確かに、改札口から見える位置に手書きの立て看板は出しているものの、そこには店名のデザインされた「ロゴ」がありません。手書き、ですから。これでは、お店を探そうにも、目印になりにくいわけです。
どういう事かわかりにくい方もおられるかも知れないので「デザインされたロゴ」の必要性を説明します。

まず、お客さまはとても忘れっぽいということです。たとえばそのお店が「アイアイカフェ」だったとしても、立て看板からお店にたどり着くまでに「アイアイカフェ」なんて名前そのものは忘れてしまってるんですね。

「そんなあほな!」

と思われるかも知れませんが、はじめて入った飲食店街の、いくつもあるお店の名前をキチンと見分けがつくように覚えている人など、かなり少ないのです。「アイアイカフェ」が「あいあいこーひー」だとか、「ありあり喫茶」だとか「あるある茶屋」だとか、一歩歩くたびに記憶があいまいになっていくのです。人間というのは、そういうものなのです。

だからこそ!

お店の名前は、キチンとデザインして、印象的でひと目で記憶に残るようなものにしておかなければならないということなのですね。
たとえば、「アイアイカフェ」なら、文字の背景にハートマークが入っているとか、カタチで印象に残るとか、文字色をはっきりとしたピンクにしておくとか、何か心に残る「フック」を作っておかないと「目印」として機能しなくなるわけです。
こういう印象的なお店の「ロゴ」が、立て看板に記載されていれば、飲食街の奥に入っても、それを「目印」に探すことができるわけです。
わずかな違いのように見えて、この効果はかなり大きいのです。

大事なことは、自分のお店の「目印」をキチンと出しておくと、「探し方が変わる」という事なんです。
目印がない場合は、「日替わり定食はハンバーグって書いてあったなぁハンバーグ、ハンバーグ」という目当ての商品を探す探し方になります。
でも、目印が印象的だと、「なんかピンクのマークの店だったな、ピンク、ピンク」と、お客さまが、自分で「目印」を頼りにお店を探してくれるわけです。

これなら、手前の喫茶店に入る事はグンと減りますし、看板にわざわざ「つきあたり奥」なんて書く必要もなく、地図を描く必要もなくなるわけです。
お客さま自身が「目印」を頼りに、お店を探してくれるのだから、無駄な説明は不要です。

実は、これこそが、まさに「ブランドづくり」の本質なんですね。

他のお店とはまったく違う、独自のデザインで名前をロゴ化して、メディアのすべてで展開しておく。立て看板にも、お店の電飾看板にも、メニューにも、伝票にも、店内で用意するショップカードなどにも共通で使うという事。そういう「目印」づくりがブランドづくりそのものなわけです。

そうすれば、他の喫茶店と混同されるというリスクがグンと減ります。同業他社との競争のために、日々「自分の居場所を地図で示し続ける」という手間と労力がなくせるわけです。
ブランドを創る、というのは、そういう事なんですね。

実はこれ、お店の名前という基本的な事よりも、たとえば企業のキャッチフレーズや、お店運営の基本方針のキーワード化の方が、うんと効果は高くなるという事にお気づきでしょうか?

お店のロゴは、販促物に使うだけだから、分かりやすいですが、伝わる範囲は限られています。でも、キャッチフレーズや方針のキーワード化は、従業員教育や来店客への理解促進に効果があり、一度理解していただいたことは、ずっとお客さまの心に残ります。

そして実は、何より営業されているママさん、経営者の考え方が整います。そして、経営者の行動に一貫性が生まれて、お店での活動すべてが、お客さまに届くカタチに整っていくのですね。
キーワード・キャッチフレーズの効果のもっとも大きいのは、この部分でしょう。

たとえば、「アイアイカフェはコーヒーを売るのではなく、お客さまがほっとする空間を提供するのだ」というような事を明確にしていると、それだけで他のお店とはうんと違う、印象的なお店になるでしょう。行動やもてなしこそがお客さまの心に響いて印象に残るのですから、この「考え方を整理して言葉化する」という作業の経営に与えるインパクトは、かなり大きいのです。
結局、他の店とは違う、どんなオリジナルなサービス、あるいは「よそとは違う熱い思い」などを、キチンと掲げるかどうか? ということなんですね。

そのお店の本質で、心から提供したいと思っているサービス・商品を、分かりやすい言葉で掲げる事ができれば、実はそれこそが「他社との区別化・差別化」を成功させる、一番良い方法になるわけです。

企業活動は、小さな喫茶店一軒より、より幅広く、多様なお客さまに到達する「ツール」を制作しなければなりません。
そんな時、じっくりあなたのお話を聞いて、企業の本質をズバッと言い切ったキャッチフレーズに整えられるライターがいれば、他社との競争から逃れて指名買いを増やすことができる、という事なんです。

KID'S COMPANY 木田茂夫は、お客さまの企業の本質をしっかり取材し、その本質をドラマティックなキーワードで表現する「ドラマティックパンフレット」のサービスを行っております。
経営環境をより効率化したいと思っておられる方は、ぜひ一度お声かけください。

●「ドラマティックパンフサービスのご紹介」
http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/company/dramapf.pdf

お問い合わせは

●受付フォーム
http://www.saturn.dti.ne.jp/~kids/company/response.htm
または携帯:090-8523-4204

まで。

それでは、また次回。



バックナンバー一覧に戻る