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スーパーライター社長の置き土産、声優編をお届けします。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第692号●2023年6月22日(木)
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%name_sei%さん、こんにちは。
先日、僕が昔勤めていた広告製作会社の創業社長がお亡くなりになったので、その思い出話を書きました。
(あ、そうそう、先のメールでは仕事のクライアントを「医療系の有名企業」と書きましたが、「衣料系」の誤変換でした。京都に本社がある、有名企業です。)
亡くなられた社長は、本当に能力をお持ちのスーパーライターだったので、原稿の一発書きだとか、その場で演出案を捻り出す経験値とかいろいろ驚かされたと言うエピソードでしたが、今日はその後日談です。
たった1時間ほどで、僕の下書きシナリオは社長の手で「完成台本」になった訳です。
そして、シナリオの冒頭は、依頼主企業の社員さんが何人も登場して(静止画です。当時は写真のスライド上映で社員全員に情報共有を図るというような事が普通に行われていたのです。)自分たちの仕事上や生活上の問題や課題を訴える、という演出がなされていました。
労働組合が、会社の問題にどう向き合っているかをアピールするスライド上映会ですから、この最初の「社員の声」は、インパクトのある見ている人の心を震わせるものでなくてはなりません。
なので、僕は実際の社員さんにインタビューして、その声を録音して良いところをつなぎ合わせるようなイメージを持っていたのです。
ところが社長は「木田くん、労働組合のスライドな、明日録音スタジオでナレーションを取るから、色々準備しておいてくれ」と、もういきなり本番の録音の話を始めたのです。
「でも、社長、冒頭の社員の声はナレーター1人じゃおかしいですよ。何人も登場するんですから」と、僕が疑問を訴えると、
「それだけどな、けっこう色んな人に頼んでみたら面白いと思ってな、俳優のたまごとかに、声をかけてあるんだ」
と言われたんですね。
どうやら社長のお知り合いに演劇系の学校を経営されている方がおられたようで、そう言う方々が録音に来られると言う話でした。
あ、なるほどなと思いました。
こういう「色々な立場の人」をプロのタレントさんとかに頼むとお金もかかりますし、たかが数行のセリフのためにたくさんのプロのナレーターを集めるのも失礼な話です。
で、実際の社員さんの話を聞いても社長が書いたようなセリフとピッタリのお話は出てこないでしょうから僕の考えていたやり方もうまくいかなかったと思います。
でも、プロになりたいと思っているような、ほとんど素人と言うような人なら、こういう録音には最適です。
ということで、録音の当日には、そういう「たまご」の方が何人も集まられた訳です。
聞けば俳優の卵がいたり、ナレーターの卵がいたり、声優の卵がいたり、それこそ色とりどりでした。
そして、その「卵」の方々に演出をつけるのが、これまた僕のような素人だったりする訳です。社長も録音現場にはおられたんてんすが、基本おまかせだったので、気になるところだけは意見を言わせてもらってたんです。
というのも、やはりナレーター志望の方は発音滑舌は良いのですけど、感情が伝わりにくい話し方だったからなんですね。
とは言え、ナレーターに「演技しろ」とも言えないので、「このセリフは少し大きな声で」とか、「このセリフとこのセリフの間は少し間を空けましょうか」とか、そういう具体的な指示を出して、とにかく大袈裟に大袈裟に喋ってもらったんですね。
で、俳優志望の方はさすがに「感情」はうまく捉えられていたので、ほぼ、そのまま演じてもらった感じでした。
で、最後は「声優」志望の方だったんですが、別にアニメのように映像で口がパクパク動くわけでもないので、なんで声優さんがこんな録音に来てるのかなぁ?とよく分からなかったんです。
社長に「なんで声優さんも来られてるんですか?」と聞いたら「僕も声優さんとは仕事をした事はないんだ。ちょっと面白いかなと思ってきてもらった」と言う話。
「え? その程度で呼んじゃったの?」
と、僕は焦りましたね。
手元にあるのはシナリオだけで、別に、映像で役者さんが演技をしている素材があるわけでもないし、アニメーションでキャラクターがしゃべったり動いたりしている素材があるわけでもありません。
そもそも、スライド用の写真撮影はまだ行われておらず、何の映像もない状態だったのです。
なので、「これで、声優さんに、演技してもらえるのかなあ?」と言う心配だったのですね
そしていざ録音が始まると、逆に僕はびっくりしてしまいました。
と言うのは、それまでのナレーターさんや、俳優の方々には、演技が少し平坦なところが多くて「もう少し大げさに」とか「ちょっと間を溜めましょうか」と、できるだけ大げさな演技をしていただいてたのです。
ところが、この声優さんの演技と言うものが、それはもう超大げさで、「おいおい、いくらなんでも、それはやり過ぎやろ」と言うような表現だったのです。
僕としては、ナレーターの方や俳優の方々に「大げさに」と言う指示ばかり出していたので、声優さんが気をきかせて超大げさな演技をしているのかな?と思ったのです。
でも、どうもそういうことでもないらしく、「もう少し抑えてもらえますか」といっても、ほとんど抑揚や喋り方のタイミングなどが変わらないのです。
「なんだこりゃ」と僕は驚いて、これはもうどうしようもないなと諦めて「まぁ、いろんな社員さんがいてる、と言う意味でなら、ちょっと大げさに喋る人がいてもいいのかな」と考えることにしました。
そんなこんながあって録音は終わったのですが、録音された音声だけを聞いても、やっぱり声優さんの演技だけがとても浮いていたのです。
「これはちょっとやばいかなぁ」
と不安に思っていました。
紆余曲折あって、写真の撮影も終わり、フィルムのスライド化が終わって、映像と音声を同時に試写する日が来ました。
そして冒頭の社員さんの声のシーンを見たのですが、もうそこで超びっくり!
ナレーターの方の演技も、俳優の方の演技も、どちらもあれだけ、大げさに大げさにと演出をつけたのに、ほとんど棒読みのようにしか聞こえないんですね。
ものすごく単調。
そして逆に、あの超大げさだった声優さんの演技が、もう実にぴったりと写真と合っていたんです。
「そうかー、声の演技というものは、ここまで大げさにしなければならないものなのか!」とものすごく勉強になりました。
この事があって以来、声だけの演技や吹き替え表現と言うものは、世に言う「お芝居」とはまた別次元の表現なのだなと考えるようになりました。
これもまた、あのスーパーライター社長特有の良い意味でのテキトー精神のおかげかなと思ったりもするのです。
という事で、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.692 -了-]---------------
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