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また新しい「紙の手帳の優位性」に関する実験結果を見つけました。かなり偏向した実験ですけど、まぁ面白いです。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第759号●2023年8月28日(月)
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%name_sei%さん、こんにちは。
さて、今日は、またまた「スマホ・タブレットより紙の手帳の方が効果が高い」という結果の出た学術的な実験結果を見つけましたので、ちょっとシェアしたいと思います。
ニュースソースはこちら。
少し古いですが、2021年3月19日の、東京大学と能率手帳=NOLTY発祥の元組織、日本能率協会との共同研究のようです。
●紙の手帳の脳科学的効用について〜使用するメディアによって記憶力や脳活動に差〜
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0109_00001.html
実験内容の具体的な詳細は、以下のPDFに掲載されています。
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/files/20210319sakaikunisobun01.pdf
いちおう実験内容を確認しましたが、前に紹介した
パム・A・ミュラーとダニエル・M・オッペンハイマーによる
「The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking」
~ペンはキーボードよりも強力です: ノートパソコンよりも手書きの利点~
(2014年5月22日発表)
と比べると、単純な短期記憶についてしか見ていないので、あまり見るべき内容はないのかな? と思いますが、ミュラーとオッペンハイマーの実験が、
●PCと手書きノート
という「ノーティング」の効果についての調査で、しかも短期記憶と長期記憶を調べていたのに対して、こちらの東京大学の調査は、
●スマホ・タブレットと紙の手帳
を比較していて、かなり異なったテーマの調査だったところが面白いですね。
なおかつ、長期記憶は調べていないものの、脳の活性化部位をMRIで見るという生体的特徴まで調べているところは面白い部分です。
データによれば、
●紙の手帳の方が海馬の活性化が大きい
という結果が出ているので、これは長期記憶にもつながるだろうなと思います。
逆にミュラー&オッペンハイマーの調査と違っているのは紙と比較しているデジタルツールの違いですね。
PCとスマホとタブレットなので、ずいぶんと「記帳」方法が異なります。
PCは欧米での研究ですから当然キーボードで、彼らには漢字変換の手間がないので「ブラインドタッチ」は不要であり、キーボードで見たまま入力ができるので、手書きよりかなり高速で入力できているんですね。
しかし、東大の研究はスマホはおそらく「フリック入力」なので、それなりに高速ですが、そもそも画面サイズが小さいので、紙の手帳より全体把握が恐ろしく非効率でしょう。
また、タブレットの入力方法は何かと見てみると、今度はフリックではなく画面にタッチペンで「手書き」だったようです。
タブレットへのタッチペンでの文字入力というのは、僕はけっこう試しに使っていたので経験がありますが、かなりのスキルが必要なんです。
紙の手帳とタブレットだと、そもそも「解像度」に大きな差があって、タブレットの解像度はかなり上がってはいますが、紙には圧倒的に劣ります。
このタブレットへの入力がキーボードだったら、入力効率はかなり違うはずなんですが、手書きのペン入力だと、よほどの手慣れたソフトでないと、かなりしんどいでしょう。
なんと言うか、「スケジュール管理」に絞った調査で、これはかなりデジタルツールに不利な比較だと言えるでしょう。
なんせ、単純な入力速度比較が「紙の手帳の方が速い」になっていますから、これはちょっと紙の手帳優位のバイアスがかかっているなぁと思わざるを得ません。まぁ能率手帳が調べているからこういうことになるんでしょうけど、これはイカンなぁ。大学はもっとアカデミックな立場を徹底しろよ、と思う。
これも「予算」がないからこういうことになるんだろうなぁ。なんで能率手帳に金をもらわなければ、こういう調査がされないのか? ですよ。もっと真剣にやれ! 国!東大! と思うんですが、まぁマイナーな意見なので、ご容赦ください。
そもそもスマホでスケジュール管理をさせるなら、音声入力で、普通のテキストファイルか、LINEのノート機能とかで記録させれば全然入力効率は変わるはずです。
で、後はGoogleカレンダーにコピー&ペーストするだけでいい。この方が圧倒的に効率的だろうと思います。
でも、そういう効率化手法は取っていない調査なんですよね。
なので、単純記帳では「紙の手帳の方が少し速い」というおバカな結果になっています。
まぁスマホの小さい画面に「フォーマット化」されている手帳ソフトなどに、フリックで書き込んだら、そりゃ遅いわ。
同じやり方でタッチペンで書いたら、そりゃ遅いわ。
タブレットなら、大きな画面にマンスリースケジュールのフォーマットを出して、日付と時間はタッチ操作で選択式にして、内容項目はキーボードで文字入力するようにしたら、おそらく紙の手帳よりすばやくスケジュール記帳はできると思います。
問題は「長期記憶」なんですが、スマホ・タブレットの場合は普段使いをしているなら、繰り返し見直しをすることもあると思うので、こと「スケジュール管理」程度のことなら、スマホ・タブレットの方が記憶に残りやすい、という場面はけっこう多いと思います。
特にチームで何かをやる場合は、スケジュール共有の機能はスマホ・タブレットの方が効率は良いだろうと思う。
やはり手書きが大きく効果を伸ばすのは、
●長期記憶
●発想・展開の可能性
の2項目だと思います。その部分手書きの方が海馬への刺激は多かったというのは、研究成果として有意義だったんじゃないでしょうか?
ということで、僕としては「じっくり考えるためのメモ」などは、紙の手帳の方が良いと思いますし、スケジュール管理にしても、単にスケジュールを忘れないようにする、という単純共有ではなく、どんな目的で何を話し合うべきか? などを深く考察するようなスケジュールのあり方を問うなら、おそらく紙の手帳の方が圧倒的に効果を示すだろうな、という予測を述べて、今日のメルマガは終わりにします。
ということで、今日はここまで。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.759 -了-]---------------
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