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飛び込み調査のバイトをやったことがあります。実はすごく成績は良かったのです。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第867号●2023年12月28日(木)
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読者さん、こんにちは。

みなさん、「飛び込み営業」というのをご存知ですか?
まぁ一般的には印象は良くないでしょうけれど、一般の家庭に一軒一軒訪問して、商品を販売したりする手法です。
悪く言えば「押し売り」という呼び名になってしまいます。

これは一般的には、かなり「しんどい仕事」として知られています。また、インターネットが登場してきて、商品を「欲しい」と思っている人が自ら「探しに出かける」のがあたりまえになったいま、あまりに効率の悪い営業手法という言われ方もしています。

とは言うものの。
僕は、この「飛び込み営業」こそ、あらゆる商売の基本なのではないか? という気持ちを持っています。
というのも、この飛び込みで見ず知らずの方と接触する「第一印象」をコントロールすることこそ、営業の一番重要な要件なのではないか? と思うからです。

飛び込み営業に関しては、知り合いの優秀な営業マンの人から「何軒まわって何件契約が取れるかが分かれば、精神的負担はうんと軽くなる」と言う話を聞いていて、これがまず、いちばん頭に残っているし、飛び込み営業を考える最重要ポイントだと思うのです。

例えば100軒に一件成約できるなら、営業効率は1%ですから、いくら断られても、その途中では「いま35軒目、あと65件以内に取れる!次行こう次!」と気持ちが軽くなるわけです。

1%というのは、この手のまったく信頼関係のないアトランダムな接触における、一般的な数値です。
でも、飛び込み営業を始めてやる人は、この営業効率を20%とか30%とかの、ありえないほど高い数値を想定して「飛び込み」をはじめるから、ものすごく苦しくなるわけです。

いくら飛び込んでも、まったく反応がない。
嫌になる。
これは私には向いてないのではないか?

と、こうなるわけです。

でも、実際にはおおむね1%くらいの比率で「ああ、それが欲しいと思ってたんだ」という人を見つけることができるわけです。

これは僕がやってる広告の考え方の基本中の基本なんですね。広告を何人に見てもらったら、そのうちどの程度の方が購入してくれるのか?という、大まかな目安の数値。それを考え高めていく、というのが広告のあり方そのものなわけです。

で、実はこの1%を2%とか3%とかに高める手法というのはあって、それを僕はコピーライターになる以前に実際に体験してるんですね。

実は、学生の時に「飛び込み」のCM視聴率調査のバイトをしたことがあるのです。

これは、調査の前日の、あるテレビ番組の中で流れたCM(洗剤とかです)を、一般の家庭の視聴者が、見たかどうか? 記憶しているかどうか? を確かめるための調査でした。

一軒あたりの質問用紙は、けっこう長くて、A4用紙で2~3枚はあったでしょう。番組を見たかどうか。番組を覚えているかどうか。間違えて別の番組と思っていないかの確認。途中のCMは覚えているか? 覚えているなら、どんな内容かを聞く。対象となるCMか?(別のCMと間違えていないか) そのCMでは何をアピールしていたか? 商品名は覚えているか? という具合にどんどん商品の内容に迫っていく調査です。

高額のCM費用を支払って、実際に効果はあるのか? を確認するような調査ですね。

でもこれ、ピンポン!と呼び鈴を押して見知らぬお宅にお邪魔して「テレビのCMの視聴率調査です。ご協力いただけますか?」と聞いても「いまいそがしい。無理」と断られることの方が圧倒的に多いんです。
一緒に同じように調査をしていた同年代の学生も何人かいたのですが、一時間半とか地域周りをした後に休憩がてら車に戻ると、みんな、そもそも協力してもらえない、という部分で強烈にへこんでいて、げっそりしているような状態でした。

かく言う僕も同じような状態だったんですが、途中から「待てよ?」と考えが変わったんですね。

「これ、CMの調査と言うから嫌われてるだけと違うん? テレビ番組の調査やったら協力してもらえるんやないか?」

と思いまして、

「テレビのCMの視聴率調査です」

と言わずに、

「テレビの視聴率調査です」

と説明を始めるようにしたんです。

そしたら、これがビンゴ!
かなり協力してもらえる率が上がったんですね。 みんなコマーシャルは嫌いだけどテレビ番組は好きなわけです。それはもう全然反応率が違ったわけです。

で、実際最初の質問は「昨日、こんな番組を見ました?」ですし、「見てない」と言われたら、そこでその家庭の調査は終了なので、一切問題はないわけです。

これで効率的に「番組を見ている人」を拾いだせるようになったんですね。

で、そのうち段々慣れてきて、

「いまこのあたりのテレビの視聴率を調べているのですがご協力いただけないでしょうか」

という言い方を最初にするように変えました。あくまで、この地域だけなんです、というのを最初に言ってしまうのです。
するとまた協力率が上がったんですね。
「自分の住んでる地域のテレビ視聴率の調査」と聞くと、「ああ、それなら協力しようか?」となるわけです。

で、そのうち「他のお宅も聞いて回ったの?」とか聞かれるようになって、「はい、この筋だけでもう2軒ほど協力いただきました」とか言うと、「じゃあ協力しようか」と、またまた協力率があがったんですね。

おかげで、夕方のバイト終了時には、かなりの数の調査サンプルを獲得することができました。

なので、帰り間際には、バイト先の担当者から「来週また調査があるから来てくれないか」と次の調査のバイトに誘われたんですけどね。

まぁ当時すでに「コピーライターになりたいな」と思っていた時期だったので、このままこのバイトを続けていたら、調査マンになってしまうぞ、と思って次のバイトは断りましたけども。

ともあれ、「飛び込み」と言っても、こういう具合に第一印象を自分なりに設計して取り掛かれば、かなり印象は変わるよなと思いますし、また、そういう印象を作るのが、僕の仕事でもあるよなぁと、いまになってあらためて実感したりしてるのです。

ということで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日、お会いしましょう。


--------------[KID'S SIGNAL No.867 -了-]---------------


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