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「スマホの前に、palmがあった」というのと同じように「タブレットの前にWindowsタブレットがあった」ということなんです。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1023号●2024年6月3日(月)
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読者さん、こんにちは。
この間から「スマホの前に、palmがあった」という話ばかりを書いていました。
iPhoneを代表とするスマホが登場する以前から、移動時間で作業をしたいと思っていた、僕のような人間は、それなりに工夫して、スマホと同等の利便性のある環境を構築していたのだ、という話を書きたかったわけです。
で、iPhoneとAndroidで、スマホが登場した後に、また大きなムーブメントとして「タブレット」が登場したわけです。
これはやはりなんと言っても「iPad」が切り開いた市場ということは言えるでしょう。
でね、この「タブレット市場」というものがいったい何なのか? というと、もうiPad登場時点からずっと「コンテンツ視聴ツール」だったわけです。で、それは今も何も変わっておりません。
で、僕自身はずっと「文章(テキスト)を書く」ことを仕事として考えていたので「コンテンツ視聴」自体、全然重要ではないわけです。
そりゃまぁ、きれいな画面とか美しい映像・音響で映画や動画が見られたら楽しいことは楽しいでしょうけども、そういうのはテレビで良いわけです。
別に「ソファで寝っ転がって観たい」とは全然思わなかった。
ほんとうにPCとかデジタルツールというのは仕事の効率化のために使う、ということしか考えていなかったので、iPadが出た時は「なんじゃそりゃ」でしたね。確かに「ライフスタイル」としては新しいのかもしれないけれど、そんなことどうでもええわい、という感じでした。
ところがあにはからんや、それからしばらくの世間のタブレットブームたるや、ものすごいものでした。もう本当に、かなりたくさんの人がタブレットを持ち歩いていたんですね。
僕が衝撃を受けたのは、着物を着た40代後半とかの女性がホテルのラウンジで何やらタブレットを出していろんな写真を見ていた姿と、おなじく喫茶店だったかファミレスだったかで、これまたおばちゃん数人がタブレットを取り囲んで、わいわい言いながら写真を鑑賞している様子でした。
「ああー、こういうニーズがあったのか」
と、あらためてタブレット人気がどういうものであるかを理解しなおした、というようなことでした。
「コンテンツ視聴」というのは、そういうことなんだよなぁとその時にはっきりと理解したわけですが、はっきり理解したからこそ「僕はそれはどうでもええわ」と思ったわけです。
やっぱり僕は自分の仕事の効率化が一番大事で、ダラダラとコンテンツ視聴をするというのは「モバイル機器」で移動中にまでするようなことやなかろう、というのが大きかったわけです。
仕事で打ち合わせで資料を見せたり見たりするのも、基本はやはりノートパソコンかプリントアウトだろうし、その方が圧倒的に便利だったわけです。
で、そもそも何より、iPadの「タブレットマシン」という概念自体が、僕からしたら新鮮味が全然感じられなかったというのも大きかったんですね。
なんでかというと、それ以前にMicrosoftが「タブレットPC」というものを、すでにずいぶん前から市場に投入していて、で、やはり大きなムーブメントにはつながらなかったからなんですね。
iPadの登場が2010年なわけですが、Microsoftの「タブレットPC」である「タブレットPC用OS」のMicrosoft Windows XP Tablet PC Edition の登場は2001年と、なんとなんと10年近いタイムスパンがあるわけです。
Microsoftが早くに取り組みすぎた、という側面もあるんですが、それより何より、そもそも「タブレットでペン操作(または指操作)をする」ということに対しての優位性が見つけられなかったというのが、かなり大きかったと思います。
Appleは、まぁ言ったらなんですけど、つねに「おバカさん」向けを意識して、「おバカさん市場」の方がマーケットとしては大きいのだから、そこを取りに行こうとするわけです。
まぁ、アホをだまして金を取る、という商売ですな。まぁこれがアップルの本質と言ってよいわけで。(それだけではないんですけどな。マーケッターとしてスティーブ・ジョブズは超天才なんですけど、それはまた別の話。)
だから、「スマホの前にPalmがあった」ように、「タブレットの前にMicrosoftのタブレットPCがあった」わけなんです。
で、Palmでモバイルで仕事をする基本環境がユーザーの試行錯誤で積み重ねられて形作られたように、タブレットの活用方法やアプリ開発なども、「タブレットPC」によって組み上げられていたんですね。
で、そういう世の中に先行して開拓されているようなリソースを、それはまぁ上手にかっぱらって、泥棒して、さも先進的なようにプレゼンテーションして「アップルはすごいだろ」と演出を施すのがスティーブ・ジョブズの、こすっからいけども上手い点でして、iPhoneにせよiPadにせよ、そのマーケティングのうまさには目をみはるばかりではありました。
「あー、これは何も知らない世間のアホどもは、一発で騙されるわなぁ」
というのが僕の実感でした。
なんせ、palmで外付けキーボードでテキスト入力するのを、iPhone登場の数年前にやっていたし、iPadでタブレット市場が一般化する10年近い前から「タブレットPC」の動向を注視して、「うーん、これは仕事の効率化にはあんまり役立たないよねぇ」と判定していたわけですから。
ということで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.1023 -了-]---------------