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「スマホの前にpalmがあった」ように「仮想ディスプレイの前にHololensがあった」という話。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1025号●2024年6月5日(水)
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読者さん、こんにちは。
きのう「いまジョブズがいれば、あの口先三寸のすばらしいプレゼンテーションで、世の中に大定着させるだろうなぁと思える技術」というものがある、と書きました。
それは何かというと、すでにアップルでは発売されておりまして、「Vision Pro」というものなわけです。
●Apple Vision Proが登場 ー Appleが開発した初の空間コンピュータ
https://www.apple.com/jp/newsroom/2023/06/introducing-apple-vision-pro/
上記のニュースは去年の6月のもので、Vision Proは日本ではまだ発売されていません。(この7月に発売になるという噂はあります。)
好事家の方々は、わざわざアメリカから輸入して使ってたりするようですが、価格が50万円になるし、日本の「技適(技術基準適合証明:電波法)」の認証を得ていない装置なので、自宅を「Vision Pro」を使うための空間として登録しないといけないとか、ハードルがむちゃくちゃ高いんですね。
でも、それでも使いたいという人がいてるくらい、画期的な装置なわけです。
で、これがどう画期的かというと、極端に誇張して書くと、
●大型のPC用ディスプレイを何台も置いておく必要がなくなる
という話なわけです。
このVRゴーグルのような装置には「パススルー」という、「ゴーグルの外の風景をカメラで見えるようにする」機能がついているんですね。
だから、ゴーグルをかけても、周りは見えているように設定できます。
で、その「見えている現実の空間」の上に、パソコンの画面を仮想的に浮かせることができるわけです。
しかも、そのディスプレイは4Kなどの高精細で、体を近づけて細部をよく見ることもできるし、指でつまんで自分の方に引き寄せることもできるわけです。
まさに自分の部屋に高精細巨大ディスプレイを「浮かせておく」ようにできるわけです。
これねぇ、本当にいまジョブズが生きていたら、日本とアメリカで同時発売して、プレゼンテーションも世界同時にやって、世界中のバカを一気にまとめてだまして、巨大新市場を一晩で生み出していたんじゃないかなぁと、心底思うわけです。
でも、もうジョブズはいませんので、そもそもVision Proの完成度も「惜しい!」というような感じでイマイチだし、本当にその価値を分かってる人だけが反応してるような中途半端な広がり方だし、そもそもすでに他社がものすごくよく似た製品を出していて、それもそこそこ定着してるから、「一気にトップに踊りだす」というところまで行ってない、という体たらくでして。
すでにある程度売れているのは、facebook のメタ社が出している Quest3 というゴーグルですね。
●Meta Quest 3で世界を広げよう
https://www.meta.com/jp/quest/quest-3/
ただ、この Meta Quest 3 は、「仮想ディスプレイの代わりにゴーグルを使う」というもっともビジネス的可能性の高い用途はあまり重視してなくて、どっちかというと3D空間を使ったゲームとか、立体映画とかの「エンタメツール」として売り出してるんですね。
いやまぁ、その可能性も重要ではあるけれど、そもそも実用性がなかったら誰も買ってくれないよ、と僕は言いたいわけでして。
で、「ゴーグルを巨大ディスプレイの代わりに使う」という用途が、一番だれにでも分かりやすい使い方なんだと思うんですけどねぇ。
・4Kの巨大ディスプレイを寝っ転がって気軽に使う
・車の中や電車の中、飛行機の中で巨大ディスプレイでPC作業をする
・仮想ディスプレイを5画面くらい空中に浮かせて、それぞれで別の役割で表示させ自由に使う
というメリットがあります。
このあたりは、immersedという会社のimmersedというソフトが、「仮想空間のディスプレイ」を快適に使うアプリを出していて、そのコンセプト動画とかがイメージしやすいのかもしれません。
●immersed(仮想空間上にディスプレイを表示するソフト)
https://immersed.com/
●immersedのVRゴーグル解説動画
https://visor-files.s3.amazonaws.com/9qCupt91-FappZ3H.mp4
で、こういう実用的な、いままでにない利便性があった上で、
・映画館で見た立体映画を自宅でも見れる
・3D空間を利用した立体ゲームを自宅空間で楽しめる
というエンタメまで楽しめる、という話でないと、なかなかこういうデバイスの「利便性」は伝わらないと思うんですよ。
で、そういうプレゼンテーションは、やっぱりスティーブ・ジョブズが本当にうまかったと思う。
とは、言いましたが、じゃあこの「現実の風景をパススルーで取り込んで現実空間に立体画像をミックスさせる」というミックスドリアリティーという考え方を、最初に提案したのは誰か?というと、これが実はタブレットPCと同じでMicrosoftなんですよね。
しかも、その発表年は2015年と9年も前なんです。
でもって、そのMicrosoftが提案した「複合現実(Mixed Reality)」を実現するデバイス、「HoloLense」は、2016年に発売されて、現在ではHoloLenns2とバージョンアップされて継続販売されています。
何かこのHoloLensのことが良く分かる解説はないかと探したら、比較的わかりやすいものがありました。
●MicrosoftのHololens2
https://www.youtube.com/watch?v=m-8PatTxAyE&t=283s
ちょっと長めの動画なので、
2:49 からはじまる自動車生産現場での使い方と、4:40 からはじまる医療現場での活用方法を観れば、どう役立つのか? ということもわかりやすいかな?と思います。
HoloLens2は、すでに大手企業などで現場で活用される専門道具として定着しているので、しっかりとした実績もあるわけです。
このあたり、Microsoftは、ゲーム機のXboxも出していますし、そのゲームを操作するゲームコントローラー「Kinect」というデバイスで、身体の動き・ジェスチャーで、コンピューターの操作ができるノウハウもため込んでいましたから、実用的なツールに仕上げていたわけです。
だから、「先行者」の技術蓄積は、もうすでにかなり大きいデバイスなんですよね。応用の方向性もおおむね分かっている。
僕はこの方向でのこの手のデバイスの進化は、スマホ登場と同じくらいインパクトの大きいものなんじゃないか? と思ってるんですけどね。
でも、いまはジョブズがいません。なので一般のおバカな、大量の人たちが、「新しい夢」を見ることができないままなので、市場化できてないんだと思うんですよね。
うーん、残念だ。
ということで、僕の「スマホの前にpalmがあった」のお話はこれでおしまいです。
いやー、けっこう長いおしゃべりになりました。
ではではまた、明日のメルマガでお会いしましょう。
--------------[KID'S SIGNAL No.1025 -了-]---------------