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「ポインティングデバイス」というものについて、ちょっと歴史を振り返りつつ考えてみましょうか。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1044号●2024年6月24日(月)
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読者さん、こんにちは。
今日もまた、ずいぶんと遅い時間になってしまいました。日々の作業は良く進んでるんですが、その影響がメルマガに出てしまってます。ごめんなさい。

さて、昨日、「トラックポイント」での僕のおバカな失敗の話をしましたが、ついでなので、その「トラックポイント」について、すこしパソコンの歴史などを振り返りつつ、お話してみようかな? と思います。

まず最初にお話したいのは、ノートパソコンの歴史、ということについてなんですね。
というのは、僕がお話したいのは「ポインティングデバイス」について、ということなんです。

で、この「ポインティングデバイス」というのは、少なくともパソコン、つまりPCにおいては「マウスを使う」ということが「当たり前」になっているわけです。

もう、パソコンがこの世に登場してから、この部分について疑いを持つ人はほとんどいないというくらいに当たり前になりました。

で、それと並行して「ノートパソコン」というパソコンの「携帯用」というべきものが生まれて、こっちの方は、

●パソコンと同じようにマウスを使えば快適だけど、標準装備されている「トラックパッド」もけっこう使える。

というのが世の「常識」というものだと思うのです。

しかし、この「マウス」も「トラックパッド」も僕は完全に「不良品」「欠陥商品」としか考えておりませんで、心の底から大嫌いと言える存在なわけです。

で、それは昔のIBM、買収されて、いまのLenoboが提供している「トラックポイント」を使うようになったからなわけです。

「これこそポインティングデバイスの完成形やんけ」

という思いがあるわけです。
そして、この「マウスよりはるかに便利なトラックポイント」というのは、「ノートパソコンの開発競争」の中から生まれてきたものなのだ、ということなので、そこから話をしたいと思うわけです。

まず、ノートパソコンの嚆矢というと、東芝のDynaBook J-3100SS SS001です。
これが1989年6月に発表され、世界初のA4ファイルサイズで、重量2.7kg、価格198,000円で登場してきた時はとんでもないセンセーションとなりました。本当に画期的だったんです。
ただし、この商品には、ポインティングデバイスなどは付いておらず、セットでマウスも持って移動するような使い方が当たり前でした。

同じ年、あのAppleが、やはり「Appeleのノートパソコン」の初号機、Macintosh Portable が出ます。これは重量が8kgもあるし、価格に至っては、1,168,000円ですから、まともな商品とは言い難い存在ではあったんですが、ただ、考え方だけは非常にすぐれていて、

●トラックボール

を標準で備えていたんです。つまり「ポインティングデバイス」ですね。マウスを使うのではなく、ノートパソコン本体にポインティングデバイスを組み込もう、という考え方を提起したわけです。
ここは心底すぐれていたと思うわけです。

ある意味、普通のPCより、このMacintosh Portableの方が、よりコンピューターを使う環境として優れていたともいえるわけです。

で、この2年後、1991年に、アップルは、そういう「ポインティングデバイス」を備えたノートパソコンのかの名機、「PowerBook 100(重量2.9kg)」を出したわけです。

この機種には、キーボードの手前、現在のノートパソコンのトラックパッドがある位置にトラックボールを配置していました。まさに、その後の「ノートパソコンのキーボードの基本配置」を確定した、素晴らしいコンセプトのマシンだったと僕は思っています。

このマシンのおかげで、やっとノートパソコンに「ポインティングデバイス標準装備」という考え方が根付いたわけです。なので、PowerBook 100 は、「パソコンのユーザーインターフェース」という意味においては、かなり重要なマシンだと僕は考えています。

ただし、このトラックボールというのは、ひとつ大問題がありまして、「快適に操作しようとしたらボールサイズを大きくしないとダメ」という欠点があるということです。
これはコンパクト化したいノートパソコンの開発方針とは完全に矛盾する欠点であったわけです。

なので、僕は「モバイルコンピューティングというのはなかなかに難しい問題だよなぁ」と思っていたんですね。
いまではスマホのように「画面にタッチする」というのが当たり前なので、さほど問題ではありませんが、当時は液晶画面のタッチパネル化なんて夢のまた夢でしたし、これはしょうがないなと思っていたわけです。

でも、その PowerBook 100 が登場した翌年1992年10月に、当時のIBMが、「トラックポイント」を搭載した、ThinkPad 700C を発売しました。

僕はそのThinkPad 700Cの説明会で、トラックポイントを初めて触って、「これはすごい!」と感激した人間だったわけです。
これなら、PowerBook 100 みたいにトラックボールを大きくするとかせずに、すばやいマウスカーソル移動の操作から、とてもゆっくりしたこまやかなマウスカーソル移動操作まで完全に行えるではないか! しかもブラインドタッチのホームポジションから、一切指を移動させずに! と思ったわけです。

特に画期的だなぁと思ったのは、スティック状のポインターを傾けていれば、マウスカーソルが画面上を、どこまでも移動し続けてくれる、その挙動の在り方でした。

「これ、マウスよりうんと便利やん!」

と、僕はかなり驚いたわけです。

なんせ、パソコンと言うとマウスというのが当たり前で、初めてパソコンを触った人がマウスカーソルを画面の端まで移動させるのに、

「机が、机の端が、もうありません! どうしたらいいんですか!これ!」

と叫んで、机の端っこにマウスをストップさせたまま、パソコン教師に助けを求めてる、というような話が山盛り世の中に流通していたからです。

で、実は、このお笑いシーンは、いまだに世の中に存在してます。

でも、トラックポイントは、このバカバカしい操作性の不備を完全に払拭していたわけです。

「こりゃー、たいしたもんだ」

と思わない方がおかしい、というくらいの話なんです。

ということで、長くなったので、今日のメルマガはここまで。
続きはまた明日書きます。


--------------[KID'S SIGNAL No.1044 -了-]---------------


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