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「学び」を否定する近年のありようは、大問題です。学習の「時間投資効果」の面から説得するくらいしか、解決策を思いつきません。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1051号●2024年7月1日(月)
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読者さん、こんにちは。
昨日は、「説明書が『無いのが良い』というのはおかしな理屈だ」という話をしました。

確かに「説明書を読まなくても使える」のは良いことですが、「説明書がないのが良いことだ」というのは言い過ぎだし、本末転倒です。

でも、この当たり前の区別が、近年あやふやになってきてまして、逆に「無いから良い」という無茶苦茶な理屈の方が大手を振って世の中に流通している部分がかなり大きそうです。

パソコンなどで、「何か習得に『練習』が必要なスキル」などがあると、その「練習」自体を悪者にして、自分が努力する必要性を無視したり、なかったことにしたくなる気分、というものがあるんですね。

なぜこんな風に「無いから良い」というような無茶苦茶な理屈がまかり通るんだろう? と考えた時、「スキルを習得した者が偉そうに威張る」というように「感じる」から、ということがあるんだと思います。

例えば、単純に僕が「説明書くらい読めよ」と書くこと自体が「偉そう」で、なおかつ「権威的」と感じてしまう、ということなんですね。

で、そういう人間には「甘ったれるんじゃないよ」「そのくらいのことはやれよ」としか思わないのですが、いまの時代は僕のような意見はまさにパワハラ人間ということになるようです。

このあたり、おそらく日本が30年にわたる不況が続いていて、賃金が上がっていないという背景抜きには語れない問題だよなぁと感じています。

充分な給料をもらえていれば「このくらい説明書読めよ」というのは、それがもっとも簡単なやり方で、一度理解してしまえばずっと自分がラクをできるのだから「ありがたい叱りつけ」というようなものなわけですが、安い安い給料しか出ない環境では、パワハラにしかならないという悲惨な状況だろうと思います。

長年の不況の上に、超人手不足で、働き手が優位な立場、なのに低賃金労働だ、となると、「説明書を読まなくても仕事ができるように用意するのが会社の役割だろ」という話になってしまう、ということなわけですね。
ああ、いやだいやだ。

こうして、「努力しないこと」が正当化され、その結果「頭が悪い事」も当たり前化して、日本の知的レベルがいま急激に下がっている気がして仕方ありません。
(すべては財務省の「財政健全化方針」による予算削減が悪いのだと僕は思っていますが、これはまた別の話なので、いずれまた。)

ともあれ、この問題をクリアするには、とりあえずは、

●学習にかかる時間コストと得られるメリットを明示しておく

というやり方がまずは重要なのだろうと考えています。

たとえば、昨日書いた、

●トラックポイント(棒型入力装置)の習得時間は15分でOK。

というような「学習見積り」が、あった上で、

●1.「浮かしマウス」という問題が解決される
●2.キーボードとマウス操作が統合されることで、ムダな動作が大幅に減る

という大きなメリットが得られる、というところまで明示しないとダメなんだろう、と思うわけです。
ああ、面倒くさい世の中だ。

この「15分の時間投資」と「1.と2.の大きなメリット」を比較して初めて「それなら練習してもいいか」となるというわけですね。

たいていの「スキル」は、一度身に着けたら一生ものなんだから、若いうちに身に着けるのが相対的に絶対お得なんですけど、ここはなかなか理解されないようです。

でも、社会の低成長環境の餌食になってしまったような、若い世代には、多少疎まれても、時間投資のメリットを説いていきたい気がします。
結局いつだって、

●学びは失うことのない資産

なのですから。
説明書くらい読めよ!若い奴!と思いますね。

ということで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.1051 -了-]---------------


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