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「マウスでなければ役に立たない用途」というのも存在するので、これがまた困ったことなのです。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1053号●2024年7月3日(水)
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読者さん、こんにちは。
昨日は「マウスは欠陥商品である」という話をしました。
しかし、普段マウスを使っている人は、
●肩がころうが、腕がつろうが、マウスでないとダメ
という人もいるはずなので、そのことについて少し書いておきたいと思います。
僕は心底トラックポイント(棒型入力装置)が好きなので、どうしても「棒」の普及を意識してしまうのですが、やはり世の中全般は「ネズミ」が主流なんですね。
で、その理由の多くの部分は、
●「ネズミ」は、練習不要でポイントできる。
●「棒」は、練習しないと全然使えない。
という差があるからです。
これは、家電店の店頭などでは致命的な差でして、もうみなさん圧倒的にマウスを選ばれるわけです。
「棒」での操作は練習と言っても、せいぜい15分なんですけど、そんなこと誰もしない。練習をしないうちは
●習得するのに6時間くらいかかりそう。
とか、根拠もなく想定していたりするわけです。
この手の時間見積もりの間違いというものは世の中ものすごく多いのです。
実際には、「棒」なら、マウスで操作できる95%くらいは、問題なく扱えますし、その95%が「キーボードとの持ち替えなし」に行えるので、視点がディスプレイから離れず(ここが超重要)操作できて、作業効率そのものに関して言えば、「棒」でやる方が、圧倒的に効率的なのですが。
ただ、いま書いたように、マウス操作のうちの95%までは「棒」でカバーできるのですが、5%くらいは、対応できないんですね。
それは、具体的には、
●マウスカーソルの移動速度はマウスの方が上
●ポインティング精度の高さもマウスの方が上
だからなのです。
これを一言で言うと、
●大きなディスプレイの小さなアイコンにカーソルをサッと移動して瞬時にクリックする
という動作のことを言っています。
大きな画面にある、かなり小さなポイントに瞬時にアクセスする、という要素に関してはマウスが圧倒しています。
これだけはしょうがありません。
トラックポイント(棒)の場合は、まずカーソルの移動速度がマウスの80%から90%の速度しか出せません。
それから、「ここにポイントしたい」と思っても、マウスカーソルがわずかに目的の位置からずれます。特に「カーソルの高速移動」をしたときに、そのズレは顕著になります。
しかし、そんな小さなアイコンをわざわざマウスで操作するというのは、実は現実問題として実用的ではないのですね。
たいていのアプリでそういう場合はキーボードで機能を起動できるようにしてあります。なので、そこはキーボードとの連携が得意技であるトラックポイント(棒)の方が便利なのです。
それでも!
どうしても「この用途だけはマウスでないと無理」という用途が2つだけ存在します。
それは、
●PCゲームの、FPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲームをする場合
●画像データの切り抜き作業を高速かつ大量に行う場合
です。
FPSゲームというのは、自分が戦場の兵士になったような視点で、画面上に現れる敵を銃で撃っていくようなゲームです。
これはターゲットが出た瞬間に狙って撃つ、という動作をしないといけないので、マウスの早くて正確なポインティング性能がないと楽しめません。
もうひとつの「切り抜き作業」は、デザイナーさんなどがやる作業なのですが、人物写真の背景に余分なものが写っているので、人物だけを切り抜いて背景を差し替えたり、色無地背景に変更したりということをする作業です。
切り抜き作業の場合は、「パスを切る」などという言い方をしますが、画像ソフトの「曲線ツール」で、切り抜きたい画像を取り囲む必要があるんですね。で、まず切り抜きたい線を直線でテン、テン、テンといくつかポイントして、その上に曲線を走らせるわけですが、この曲線の曲がり具合を「アンカーポイント」というものを「つまんでひっぱって」位置決めする必要があります。
つまり特定の「点」というアイコンを次々にポイントしていく必要があって、こういう時には、トラックポイント(棒)よりも、マウスで操作した方がうんとラク、ということになります。
ということで、上記2点に関しては、どうしても、
●大きなディスプレイの特定の小さな点をすばやく正確にポイントする
必要があるので、マウスでないと役に立たないとは思います。
でもねぇ。
まずFPSゲームというのはPCゲームでは人気ジャンルなんですが、家庭用ゲーム機ではそれほど人気というわけでもないですし、ゲームとしての楽しさを追求するなら、こういう用途には「マウス」を使うよりゲーム専用のポインティングデバイスを用意した方が多分うんと楽しいだろうと思います。銃型のコントローラーを超大型テレビに映った画面に直接向けて、それで撃つ操作をするとかですね。そもそも用途が特殊すぎるし、それをなにもマウスでやらなくてもいいだろう、という気はします。
まぁPC用ゲームでは、こういうゲームはマウスでやる、となっているのですから、ゲームをする時はマウスを使う、ということで良いのではないですかね。それ以外は「棒」で充分です。
PCの世界には「ゲーミングコンピューター」という言葉があるくらいで、ゲームをするためには超高速処理をするPC本体が必要になったりもしますから、そういう特殊用途で楽しみたい方はどうぞ、という感じではないでしょうか。
普通に仕事や作業で使うにはトラックポイント(棒)で充分おつりがくる、というくらいのものです。
もうひとつの「切り抜き作業」の方に関しては、現状やはりマウスでないとしんどい、と考えるデザイナーさん(紙媒体もWEBデザインも)は、多いかもしれません。
しかし、すでにこういう切り抜きは「自動認識機能」というのが年々性能が上がっておりまして、特に今後は、「AI技術」の進化で、かなり正確に「自動認識」が進んでいくだろうと考えられます。なので、
●まず自動認識であらかたポイントして、そのあと微調整をアンカーを触って行う
程度になっていくだろうと思うんですよね。
そうなると、人によるとは思いますが「トラックポイント(棒)で充分やわ」というような人も出てくると思います。
ということで、僕としては、こういう用途はかなり特殊用途になっていくだろうなと思っているので、やはりトラックポイント(棒)に軍配が上がるわけです。
PC・パソコンのソフトやアプリケーションも、昔はマウス操作を前提にして、アイコンのサイズをどんどん小さくしながら、画面にできるだけたくさんのアイコンを出し、それで一意にマウス操作させるという方向だったのですが、スマホの普及とともに、アイコンは小さくするより大きくし、機能はできるだけジャンル分けして分かりやすくし、タッチパネルで指で触れても操作できるように、と方向性が変わってきました。
Microsoftのオフィスソフトも、いまやアイコン操作というのはほぼなくなりリボンメニューという大きなアイコンのかたまりで操作するようになってきました。もうほとんど「マウスですばやく正確に小さなアイコンを狙う」という操作はなくなってきています。
そういうことを考えても、僕としては「トラックポイント(棒)」での操作がベストだなぁと個人的には考えております。
いや、まぁ一度慣れてしまったマウス環境から抜け出すのは並大抵ではないでしょうから、今後もマウスがなくなることはないと思うし、家電店のマウス売り場も、ものすごく広いままでしょう。
でもって、マウス操作で肩こりになって、どんどんマウスを買い替えたり、買い替えないなら肩こりがひどくなって、腰にまで来て歩けなくなったりと、まぁそういう人は後を絶たないというのも、変わらないのだろうなと思います。
若い間は多少の肩こりも問題ないですけど、肩こりを20年も30年もため込んだら、それはよほど上手な整体師さんに直してもらわないと治らなくなっちゃうんだけどなぁとかは思います。
ということで、今回はマウスの優位性についてお話しました。
ではではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.1053 -了-]---------------