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そもそも「入力スピード」を重視するという考え方自体が、全然ダメダメなのだ、ということを、誰もが正しく知るべきだと思います。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1057号●2024年7月7日(日)
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読者さん、こんにちは。
昨日は、僕の友人がブラインドタッチは身につけられたのに、ファイル整理の手法に関しては「ファイル整理ソフト(Windowsならエクスプローラ、Macならファインダー)を使う」ということすら理解していなかったという話を書きました。

この差は、ブラインドタッチは実際に僕自身が3日かからずに実用的に身に着けていて、それを彼が横で見ていたということがとても大きかったわけです。

そして、ブラインドタッチになればとても快適そうだ、というのも横で見ていて知っていたわけです。

なので、

●習得必要時間(1週間強)
●代わりに得られるメリット

の二つが、はっきり理解できていたから身に付いたわけです。

しかも、この彼はエクスプローラやファインダーの存在にすら気づけなかったくらいPCの活用手法に関しては鈍感な人間でした。

この事実は、たぶん、

●ブラインドタッチを身に着けたいと思っているのになかなか身につかない

というような人には、にわかには信じがたい話だろうと思います。

なぜかと言うと、「なかなかブラインドタッチになれない」と思っている人は、何年もタイピングの練習を重ねているのに、ほんの少しタイピング速度が上がっているだけで「完全なブラインドタッチ」にはなっていないだろうからです。

実はこの、

●何年も練習しているのに、少し入力スピードが上がっただけ

という人は、本当にとても多いからです。
で、こういう人たちは、判で押したように

●入力スピードはかなり上がったんですけど、まだ時たまキーボードは見ます

とか、

●入力スピードはあがったんですが、ブラインドタッチというほど完璧ではないです。

とか、

●もう、ほとんどブラインドタッチはできます。時たまキーボードは見ますが、入力スピードはかなり速いですよ。

とかの言い方をします。

いや、それ、全然ダメだから。チラリとでもキーボードを見るようでは、それはブラインドタッチとは言えないよ、と言いたくなるわけです。

で、どの事例でも共通しているんですが、タイピングの実力を「入力スピード」で測るものだと考えているわけです。

これもう、本当にダメだから。そもそも「入力スピード」をタイピング能力を測る指標だ、と思っていること自体が大きな根本的な間違いなのですね。

「入力スピード」が重視されるのは、「プロのタイピスト」なわけです。誰かが書いた原稿を、見ただけでテキスト入力していく仕事ですね。昔は電算写植とかがあって、手書きの原稿をデータ化するような仕事がありました。その昔は和文タイプライターでしょう。そういう「入力専門家」が必要とされていたし、そういう技能を習得すれば、長期にわたり職に困らないというような状況は存在していたわけです。

そういう職業を目指す人には入力スピードが非常に重要だったわけです。

しかし、いまや文字原稿というと、書き手がPCやワープロで入力するのが当たり前なので、そういう「入力専門家」の出る幕はありません。

いま大切なのは、たとえばビジネスメールを必要に応じて適切な表現で書けるかどうかとか、ブログなどの記事を思ったままに書いて、それが読んで楽しい、アクセスの稼げる記事であるかどうか? などが大切なポイントなわけです。

この時大切なのは「文章の内容」なのであって、入力スピードなんかどうでも良いわけです。

というか、「文章を考えて打つ」という工程が入る限り、入力スピードは「文章を考える速度」と同等か、それよりちょっと速い程度で何も問題はないわけです。

いや、そもそも、「文章を考える速度」より速い入力スピードなんて、自分で文章を考える場合は、そもそも達成できるはずがないわけです。「考えていない文章を書く」なんてことは自動書記とかいうオカルトの世界ですから。

じゃあなんで、こんな冷静に考えたらオカルトでしかない「入力スピード」がタイピングの判定基準としていつまでもいつまでもデカい顔してタイピング業界(なんてあるのかどうか知りませんが)に出回っているのか?というと、それは、

●ディスプレイから目を離すと考えていた文章を忘れてしまうから

なんですね。
前にも書きましたが、文章を書くという作業は、「これまでに書いた文章」を読むことで、続きをどうつなげていくかを考える作業なんです。

ということは、つねに「これまでに書いた文章」を読んでいないと次の文章は考えられないわけです。

で、これが「キーボードを見る」という作業が入ってしまうと、「思いついた続きの文章」を忘れてしまいかねないわけです。だって、「これまでに書いた文章」を見てないわけですから、どうしてもそうなります。

なので、「思いついた文章」を、「忘れてしまわないうちに」「高速でキーボードを見ながら打つ」ということが必要になってくるわけです。

で、高速で打って、打ち上げた文章が「これまでに入力された文章とつないで無理がないかどうか」などをチェックする別モードに入らないといけないわけです。

これをもう、超高速で回転させなくちゃならない。

これがブラインドタッチでない人が、どうしても「入力スピードを重視してしまう」原因なんです。

ブラインドタッチができる人の場合は、つねに「いままで書いた文章」を眺めながら文章を考えられるので、「思いついた文章」を入力することも当然ありますが、おなじ感覚で、文章の順番を入れ替えようか? とかそれまでに書いた部分の表現をより分かりやすくしようか? とかも考えることになります。

そこにスピードは一切関係はないわけです。

つまり、そもそも「入力スピードを高速にしたい」というのは、「ブラインドタッチができない人の欲求だ」ということなんですね。

まぁこれ、十中八九世間のみなさんに合致する話です。
ブラインドタッチができる人は、入力スピードに関してはとやかく言いません。考える速度で、思いついた言葉を画面に出せるスピードだったらそれでOkなんです。

しかしブラインドタッチができない人にとっては、「思いついた文章」を忘れないために、必死で高速入力するしかなくなるんですね。
なので、大原則をここに明記しておきますね。

●入力スピードをとやかく言う人は、たいていの場合ブラインドタッチができない人である。

実際に「完全なブラインドタッチ」になったらどうなるか? というと、

●頭に浮かんだ文字や文章が画面に勝手に出てくる

という感覚になります。
まずこの「頭に浮かんだ」の部分が一番重要なわけです。浮かぶまではキーは一切叩かず、文章を考えている段階ですから。

とにかくタイピングに関する学習方法に関して「入力スピード」を重視しているようなサービスとかソフトとか人間とかは、一切信用しなくてOKです。明確に間違いですから。

ということで、今日は「入力スピード」ということに関して、少し話させてもらいました。
ではまた、明日、お会いしましょう。


--------------[KID'S SIGNAL No.1057 -了-]---------------


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