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「知らない」というのは、本当に怖いこと。「みんながやってるから」と間違った常識を身に着けると、ろくなことにはなりません。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1064号●2024年7月14日(日)
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読者さん、こんにちは。
昨日のメルマガの結論で、「ブラインドタッチャー」の数がとても少ないので、「トラックポイント(棒)キーボード」の圧倒的な利便性を理解している人がものすごく少ない、ということを書きました。

で、ものすごく少ないけど、「圧倒的に便利」という事実は動かないわけなんです。

でも、その事実を知る人が超絶少ないので、理解してもらうのにものすごく手間がかかってしまうわけです。

しかも、その「常識」と「事実」の壁の隔たりの大きさが半端ないわけです。
一番極端な差を、ここで列挙すると、

●間違った常識
・完全なブラインドタッチ習得は難しい
・完璧に習得するには何年もかかる
・キーボードとマウスは別操作。
・ノートパソコンにタッチパッド(板)は必須
・マウス、タッチパッド(板)、トラックボール(球)、トラックポイント(棒)は、操作性も違うので個人の好みで選べばよい
・キー入力のスピードが速くなるほどブラインドタッチに近づく

まぁざっとこんなところが世の中の「イメージ」としてのパソコン活用方法。
でも事実はどうかというと

●事実
・ブラインドタッチ習得にはどんなに長くても7時間しかかからない
・トラックポイント(棒)の習得には15分あれば良い。
・「トラックポイント(棒)キーボード」があれば操作が統合されるので、ネズミも板も球も不要。

というたった3点なんです。
ま、これに、

・どうしても他のポインティングデバイスでしかできない操作をやりたいなら、それだけ別立てで、併用すればよい

というオプションは付くかもしれませんが、まぁ好みで選べばよいという、オプション的などうでも良い課題です。

で、世間に流通しまくっている「間違った常識」というのは、「キチンとした学習」を前提にしていないから起きているというだけの話なんですね。
基礎からキチンとやっている人には、ほんとうになんでもない簡単なことなわけです。

しかし、「常識」と「事実」の差がこれほど大きいスキルというのも、なかなかないと思うのですよ。

正しく習得しないと悪い癖がつくので、何年たってもキチンとしたブラインドタッチになれず、結果的に「常識と事実の差」が、

●3年かかるか、7時間で済むか。

という極端な差になってしまう。

ちなみに、7時間というのはかなり多めに見積もっています。

実際にはキー位置を覚えるだけで3時間程度。無意識で指が動かせるようになるまで、1時間強で、まぁおおむね5時間程度で完璧なブラインドタッチにはなれます。

人によって個人差があるので、多めに言ってるだけ。しかもその「個人差」というのは、何年もかけて「悪い練習方法で悪い癖(キーボードをチラ見してしまう癖)」が体にこびりついていると、その悪い癖を取るのに時間がかかってしまう、という話なわけです。

でね。

この間、話題にしましたトラックポイント付きのキーボードの新製品「PFU製 HHKB studio」に触ってみたいなぁと思って、大阪に出た時に大手家電店に入ってみたんですよ。

そしたらもう、そこにはとんでもない光景が広がっていたわけです。

いまPCは「ゲーミングPC」というジャンルが大きな市場を担っていて、ゲーミングPCのコーナーがドーンと存在してたわけです。
で、ゲームというのは膨大なCPUパワーを必要とするので、一台の価格も高いし、お店にすれば儲け頭なわけです。

で、そのコーナーにはキーボードコーナーが併設されてるわけですけど、それがまた「ゲームを快適に楽しむためのキーボード」なんてすね。こまかい話は抜きますが、それはそれはたくさん並んでるわけです。

でもそこに「トラックポイント(棒)キーボード」は存在してませんでしたし、店員さんに聞いたら、そもそもPFUというメーカーのキーボード自体取り扱いがないわけです。

もうね、世間一般的には「トラックポイント(棒)キーボード」というのは市場そのものが消え去っているわけです。
もう、ネット上の通販でしか存在しえない。
そういうものなんですね。

ついでにノートパソコンのコーナーも観てみましたが、もう本当に「タッチパッド/トラックパッド(板)」付のノートパソコンしか並んでないわけです。

ほんとうにね、もう、いまの日本、「基礎から重要な技能を学ぶ」という「知識・技能体系」みたいなものがぶっ壊れてしまって、技能体系も学習する態度も、基礎からの積み上げも何もかもなくなって「とりあえず体当たりでなんとかするやり方」だけしか世間には流通しなくなっちゃってるんだなぁと恐怖を感じてしまいました。

そんな「体当たり学習」なんかやってると、キーボードをチラ見する悪いクセばかりが体に染み込んでしまうので、

●3年か7時間か

というあまりに極端な差が世の中にはびこりまくってしまってるなぁと絶望を感じざるを得ませんでした。

でもって、ここで言う「3年」というのは、仮に過程・想定した長時間習得の数字でありまして、本当は、

●3年練習してもブラインドタッチにはなれず、死ぬまで、永遠に快適にはならない。

という地獄を示しているわけです。
だって、基礎を学んでないんやもん。そら無理。

というか、「寿司打」とかで、間違った指標の「スピード」を上げることを目指して、日々「瞬間チラ見する」という悪い悪いクセを体に染み込ませるようなことばっかりやって、延々遠回りしているわけですから、そりゃ「ブラインドタッチ」が身に付くはずないんですよね。

で、僕は「キーボードを一切見ないことが大事」という基礎の基礎を知っているので、

●「ブラインドタッチ」

という「一切見ない」という概念を反映した技能名称を使うわけですが、最近の若い子たちは、「完全に見ない」という概念自体を「そもそも達成できないプロの技」と勘違いしているので、「ブラインドタッチ」という名称を嫌い、なんとなく入力スピードが速そうなイメージのある

●「タッチタイプ」

という言葉を使っていたりするわけです。

もう本当に悲惨な状況だなぁと思うのです。

いやほんと。
なんとかしないといけない。

うむー。

ということで、今日のメルマガは僕の嘆きでおしまいです。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.1064 -了-]---------------


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