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「ブラインドタッチは本当に今後も生き残る技術なのか?」について考えてみました。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1112号●2024年9月2日(月)
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読者さん、こんにちは。
今日は表題のとおり、「ブラインドタッチは本当に今後も生き残る技術なのか?」について考えてみたいと思います。

というのは、入力速度、という点だけを見ると、

●音声入力
●AIによる文章生成

という二つの入力方法はブラインドタッチを上回っているからです。

で、先に僕自身の考えを述べておくと、とにかく根拠なく「ブラインドタッチ以外は使い物にならない」という結論だけがあるんですね。
これは僕の偏見かもしれないし、単なる思い込みにしか過ぎないのかもしれません。

でもなぜかそういう気持ちになるんですね。

なので、ちょっと本気で音声入力とAIによる文章生成について考察してみたいと思います。

で、先に結論の出ている「AI」に関して書いておくと、「これはまだまだ全然使えない」というのが僕の感想なんです。

先日も、このメルマガの執筆をAIにまかせてみようと思って、起承転結にあたる概要をポイントフォームで列挙して、AIに文章を書かせてみたんですね。

すると、なんと言うか、もうどうしようもないくらいに「面白み」に欠けるんです。
もう1,2行読むと疲れてしまって読む気が失せる。

「これはどういうことなのかなぁ」

と思って、読み直しをして思ったのは、やはり「海賊王に、俺はなる」問題が色濃く出ているなぁ、ということでした。

●「海賊王に、俺はなる」

というのは、言わずと知れたマンガ「ONE PIECE」の主人公ルフィの超有名なセリフですが、これ、まともな文法的には、

●「俺は、海賊王になる」

になるわけです。
でもね、「俺は、海賊王になる」というセリフが、連載の見開きページでドーンと表示されても、いっこうに面白くはならないわけです。

これはまず、テーマである「海賊」という言葉が先に出ているからこそインパクトがあるのであって、「俺は」が先に来るとテーマインパクトが弱まってしまうからです。

これがまず一点。

そして、ここもかなり重要なのですが、

「海賊王に、俺はなる」という文字の並びは、「7文字、5文字」で、俳句の後半の音のリズムと同じなわけです。
だから、このセリフには、リズムとしての音の面白さがあるわけです。

そして、3つめ。ここが実は一番重要なのですが、ルフィという主人公は手足がゴムのように伸びて、遠くにいる敵にパンチを浴びせたり、さまざまな独特なアクションでストーリーを紡ぎ出しているのですが、その縦横無尽な体の動かし方の自由度と、このテーマをまず出して、それから宣言の形にする、というようなセリフ回しが混然一体となって、とてもルフィらしさを演出している、ということがあるわけです。

それだけの背景があって、ここのセリフは「海賊王に、俺はなる」という倒置法での表現が選ばれているのであって、

●「俺は、海賊王になる」

というセリフだったら、もう完全にバカの極み、ということになります。

でも多分、AIは「俺は、海賊王になる」という答えしか書けないのだろうと思われます。
これはAIがバカなのではなくて、AIに求められる機能が「海賊王に俺はなる」をアウトとして判定し、「俺は海賊王になる」を正解とするルールが、多分永遠に変わらないだろうな、と思われるからです。

ここは、実はもっと深くいろいろ考えたのですが、やはり「海賊王に俺はなる」という書き方はAIにはできないと思うし、そういうニーズでしか活用されていかないだろう、というのが僕の結論です。
それこそ何かの学習ビデオのナレーションなんかはAIがものすごく適していると思うんですけどね。

面白いのは、この「海賊王に、俺はなる」というセリフに関して、作者の尾田栄一郎さん自身が、「『俺は海賊王になる』しか書けないようなら、漫画家になっていない」と明言されている、ということです。これは決め台詞なんですから、当然なんですよね。

実は「海賊王に、俺はなる」以外は全部アウトなのでして、

「海賊王になってやる」

も、

「海賊王になるぞー」

も、

「海賊王は、俺だー」

も全然面白くない。
全部手垢がついている。
やはり全身ゴム人間のルフィだからこそのセリフは「海賊王に、俺はなる」以外はありえないわけです。

それは、つまりこういうことです。

人間には体と心があって、その全身で感じていることが言葉になります。そして、その感じていることを、やはり体と心を持っている人間が聞くから、この言葉の面白さが伝わるのであって、体のないAIに全身ゴム人間というオリジナルキャラのセリフを考えさせることは永遠に無理だ、ということなんですね。

まぁロボットの体を作って、その体全てにセンサーをつけて、その反応を言語生成AIにつないだら、多少は身体感覚のある言語表現も出てくるかも知れませんが、多分まぁ無理だし、おそらくそういうニーズ自体が社会に存在しないでしょう。

一言で言うと、

●AIに面白さとは何か? が分かるわけがない

ということなんですね。
でも、人間は、僕のように深く考察して面白さを分析するような人は、まずいませんが、でも「海賊王に俺はなる」という言葉の面白さはマンガを読めば理屈抜きに「分かって」しまうわけです。

それが人間、というものなのです。

だから、いまのところ僕の判定としては「面白さをかんじさせる文章はAIには書けない」というのが答えなんです。まぁ無理ですよ、これは。

えー、で、本当は音声入力についてをしっかりやりたかったんですけど、どっちでもいいやと思ってた「AIは使えない」の話にかなり手間がかかってしまったので、続きは明日、ということにしましょう。

ということで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.1112 -了-]---------------


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