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トランプがアメリカの大統領に決まりました。さて、日本の経済がやばいので、ちょっとお話します。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1180号●2024年11月9日(土)
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読者さん、こんにちは。

さて、ちょっと今日はブログの方でやっている「みんな大好き、お金の話」のシリーズについて少し書いてみたいと思います。

というのは、アメリカの大統領がトランプ返り咲きと確定したからです。
トランプは国民に「ばらまき政策」を宣言していて、今後10年間で約10.2兆ドル(約1,500兆円)もの巨額のお金を市場に注入しようとしています。

パッと聞くと1500兆円はものすごく巨額に聞こえますが、10年で1500兆円ですから、年あたり150兆円となり、実は大したことはないんですよね。
日本政府は、コロナ対策として2020年度には約101.9兆円の国債を発行していますし、アメリカの経済規模は日本の二倍に近いのですから、少し予算を増やしたという程度ではないでしょうか?

ただ、アメリカの経済動向は世界に大きな影響を与えますから、物価がインフレ傾向に傾くことは必至なのに、日本政府は国債発行を躊躇してばかりなので、日本だけ海外との金利差によって、物価高がよけいにひどくなるという可能性は高いです。

(そのためには消費税なんかは廃止すればいいんですけどの。消費税を廃止して必要となる金額なんて、せいぜい年間約20兆円程度なんだし。日本のGDPは約597兆円なのだから、税として消費税は取りすぎだし、20兆円を他の税金に置き換えるのもさほど難しくないし、何より全額を国債でまかなっても、それほど大きな負担にはならないはず。ちょっと日本の経済のかじ取りはやっぱり世界全体、金額全体を見ると、なんだかなぁと思わざるをえません。)

で、こういう話をすると、「国債を発行すると、ハイパーインフレになる」ということを言う人が出てきたりするので、そのあたりのことを少し書いてみたいと思います。

そもそも通貨の発行額というのは、金本位制という「金」という貴重資源と、通貨の交換が決まっていた時代にはとても重要なことでした。
政府に大量の通貨が持ち込まれ「金と交換してくれ」と言われた時に、必要なだけの金を出せなかったら政府の信用が失われ経済的な信用とルールがゆらいで経済自体が大波乱を巻き起こすからです。

しかし、アメリカの実体経済の経済規模が全世界に拡大していく中で、現実的に金とアメリカドルとの交換は物理的に不可能になっていきます。
そこで、アメリカは、金とドルとの交換を「やりません」と宣言したんですね。これが1971年の金兌換制度の停止です。世にいう「ニクソン・ショック」という奴ですね。

当時のアメリカ大統領リチャード・ニクソンが、1971年8月15日に金とドルの交換を停止することを発表したことから、そう呼ばれているわけです。

このニクソン・ショック以来、世界は管理通貨制度に移行したわけです。

「管理通貨制度」というのが何か? というと、これは、中央銀行が通貨の発行量を管理・調整する制度のことです。金との兌換が中止されたので、それぞれの国家間での調整を強化していく必要が出てきた、ということでしょう。

管理通貨制度では、通貨の発行量は、金や銀などの保有量に依存せず、中央銀行の政策によって決定されます。
つまり、この段階で「貴重資源の総量」という上限がなくなったのと同じなわけです。

●金や銀などの保有量に依存せず→上限なし

ということですね。
つまり国債の発行は、自国建て通貨を発行している国なら、基本「上限を決めずに」発行できる、ということです。

ただし、「上限がない」とは言っても「制限はある」のであって、

●物価の安定
●経済成長
●雇用の改善
●国際収支の安定

などを勘案した上で発行額を決める、ということになります。

つまり、金という実物資源の総量を上限として決めるのではなく、経済動向をトータルに判断して国債を発行する体制に変わった、ということなんですね。

管理通貨制度は、中央銀行が自由に通貨の発行量を調整できるからこそ、経済の変動に柔軟に対応できる仕組みなわけです。
仮にアメリカが国債を大量に発行して通貨の総量を増やすのなら、日本も国債発行量を増やしていかないと、金利差が大きくなって、日本の物価高が止まらなくなる、ということなわけです。

世界的に通貨の発行量が増えていくときに、日本だけ通貨を発行しないままにしていると、世界中がどんどんインフレで物価高になっているのに、日本だけ給料が上がらず、海外からの輸入で成立しているような食糧価格がものすごく上がって、大変なことになってしまうわけです。

なので、いまは、

●国債をとにかく刷って、国が国民の製品商品を買ったり、給付金をばらまいたり、税金の額を減らしたりしないといけない局面

なんですね。

でも、これを政府、特に政府予算をあずかる財務省は嫌がります。
でも、話は、こと日本だけのことではないので、ちょっとなんとかしないと困るよなぁと僕は思っていたりするのです。

ということで、本日のメルマガはここまで。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.1180 -了- ]---------------


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