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結局、音声入力で文章を「書く」と、内容が軽くなってしまって伝わらない文章になるな、と僕はかなり強く感じているのです。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1196号●2024年11月25日(月)
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読者さん、こんにちは。
昨日は、「ブラインドタッチと音声入力は並存させると便利」なのであって、「置き換え」にはならない、という話をしました。
「並存」という事をなぜ言うか? と言えば、これは当然、「使い分けるポイント」が明確に存在しているからです。
で、音声入力とブラインドタッチがどう違うのか? というと、昨日は、
●音声入力は「文章全体の一気入力」
●ブラインドタッチは「文章を手直ししながら」の練りこみ入力
という特性がある、というところまでお話したわけです。
これまで音声入力で作業を何度もやってきたのですが、音声入力というのは、音声で「一文字単位の修正」などをすることができません。
声で「カーソルの一つ手前の文字を削除」などと命令していては、編集作業が遅くなって仕方ないですし、これまでに書いた部分を数文字修正するために「単語レベル」の音声入力をするのもとても非効率なわけです。
結果的に、音声入力を使ってテキストを起こす時は、
●書きたい文章内容の大まかな「流れ」だけを頭の中で組み立てておく。
●その文章の起承転結などを意識しつつ、一気に自分の考えていることを話していく。
●書きたい内容を話し終えたら、入力されている内容を再読して、誤変換などの修正を行う
というように、「音声入力」と「テキスト文字列の編集」を切り分けて行うのが、現実的にはもっとも効率的、ということになるわけです。
音声入力を実際にいろいろと導入されている人の話をいろいろ聞いても、結果的にこの「文章内容を一気に入力して、その後にテキスト編集を行う」という形で活用されている方がほとんどでした。
やはりこれは「音声入力が文字修正に向いていない」という特性があるからだろうと思います。
ただ、この「一気入力」という方式は、入力スピードそのものは、かなり速くて、ブラインドタッチで入力するより高速・大量に文字化できるのですが、単に頭の中で考えていることをそのまま音にして入力しているだけなので、表現につたないところがあったり、説明不足なところも出てきます。
この文章のブラッシュアップ作業については、音声入力ではとんでもなく非効率なので、どうしてもキーボードから文字を直していかざるを得ないのです。
そして、そこではやはりブラインドタッチによる文字入力が必要ということになります。
音声入力はとても便利ですが、単に音声入力のみで文章を作成すると、
・文章をより分かりやすく練りこむ。
・適切な表現を考えて単語選びをする。
・話の内容の順番を変えてみる。
・抽象的な概念や単語で複雑な話をまとめる。
といった、文章をより良くするための基本的な編集作業、「練りこみ」がまったくできていない状態で「完成」ということにせざるを得なくなるのです。
現実問題としては、一般的にテキストを読みなれている人は、「しゃべり言葉」より「書き言葉」になれているので、音声入力だけで仕上げられた文章はおおむね「読みにくい」文章と感じられると思います。
「しゃべり言葉」は、テーマを強調するために同じことを繰り返し話していたり、次にしゃべることを頭の中で整理する時間を稼ぐために、少しくどい言い方にしていたりする、という特徴があるので、どうしても文章がムダに長く、文字量の割に内容が少ないテキストになりがちなんですね。
とくに上記で列挙した項目のうちの
●抽象的な概念や単語で複雑な話をまとめる。
という点に関しては、音声入力ではかなり難しいので、
●テーマを一言でまとめる
というような、文章を書く時に一番重要な部分がぼやけてしまう可能性が高いのです。
ここでは名前は出しませんが、ある著名な文筆家の方が、「これからの原稿は音声入力で書くべきだ」という書籍を、まさに音声入力で執筆されていて、その著作を読んだのですが、非常に知的で、抽象概念を自在に操る文章が魅力だった方の文章が、やたらとくだけた軽い調子の文章になっていて、最終的にとても説得力の薄い内容になっていた、という経験を僕はしています。
なので、音声入力が「高速・大量入力」ができるのは認めるのですが、文章の練りこみには適していないし、ほんとうに文章の一番重要な「決めの一言」を探るような、文章作成のキモの部分はブラインドタッチでやるしかないよな、と考えています。
実際、このメルマガの執筆においても音声入力は良く活用しているのですが、どうしても内容が浅くなるので、音声入力したテキストは後で修正が必要となりますし、その修正段階で、かなりの時間が取られることも多いのです。
結果的に音声入力は、
・電車やクルマでの移動で、時間が取られる時の移動中の下書き入力
として使うことがほとんど、9割以上はブラインドタッチでのキーボード入力でこのメルマガは書いています。
「書き言葉」による説得力ある文章は、やはりブラインドタッチで書くしかないな、というのが僕の結論ですね。
(いやまぁ、音声入力だけの「軽い内容」だけで済ませる人は多いとは思いますから、ここはチョイスの範囲ですね。)
ということで、音声入力とブラインドタッチは使い分けるもので、置き換えるものではない、という話でした。
ではでは、また明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.1196 -了- ]---------------