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今日はちょっとめずらしく、「環境保全」に関するお話です。あんまりキャラと合わないんですが。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1204号●2024年12月3日(火)
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読者さん、こんにちは。
えー、今日は実はちょっと「環境保全」に関するお話をしたいと思います。
そもそも僕は経済に関する事柄や、仕事の効率化に関する話題などにはとても積極的で、逆にどうしても「効率よりも継続性」とか、「新技術より伝承技術」が優先される話題に関しては、もともとあまり食指が動かないタイプの人間なのです。
政治の話題でも経済とか技術の発展にかかわるような話は耳をそばだてて聞いていたりするのですが、環境に関する話題だと「まぁいろんな視点があるからねぇ」とちょっと他人事に言い方になってしまうような部分があります。
そんな僕でも、前々からちょっと気になっていて、いろいろと考えるところの多い自然保護団体というのがありまして、つい先日、その団体の「応援会員」というものになってみたわけなんです。
その自然保護団体というのが、
●日本熊森協会
https://kumamori.org/
という団体でして、「日本の野生生物や、かれらがすむ日本の豊かな森を一緒に守りませんか?」というテーマで活動している団体なんですね。
ここで言う「日本の野生生物」は、おそらくは非常に多様な生物を前提にしていると思うのですが、対外的には「クマをクマが住む森を守ろう」という話になると思います。
先日も秋田県のスーパーにクマが侵入し、捕獲され、最終的には駆除されました。
ネットのニュースなどを見ると「一度市街地をエサ場と認識したら、クマは何度もやってくる。殺処分以外に解決策はない」と言う声がけっこう多いわけです。
で、実際にクマが侵入した地域の人たちにすれば、いつクマが出てくるか分からない空間にしてほしくはない、という願いがあるのも当然だとは思います。
そんなこんなを考えていくと、「クマの殺処分は当然」「クマが出たら猟友会に頼むしかない」という空気になっていくのは分からなくはないのです。
でも、です。
では果たして「クマの駆除」以外に方法はない、ということが、この問題の解決策か? というと、実は答えは驚くべき反対側の側面を照らし出すのですね。
●クマを殺したら、もっとたくさんのクマが都市部にやってくる。
というのが、実は本当の答えなんです。
なぜそうなるか? というと、そもそもクマというのは、森の木の実なども捕食しますから、自然林の「拡大者」なんですね。
つまり日本の自然な里山、森の豊かさはクマのような大型の生き物が一日に何キロも移動したりして支えられているわけです。
で、この「エサの豊富な自然な森」が少なくなると、クマはエサを求めて市街地まで下りてくる、ということになるわけです。
そして、日本人は明治の初め頃には、自然の森を開墾して、スギやヒノキなどの針葉樹を植えて植林し、自然林を破壊することを国策としていたんですね。なので、いまでもスギ・ヒノキは生えているけれど、木の実などを落とす広葉樹が豊かな自然林はどんどん失われているわけです。
明治時代には国是として必要だった針葉樹林も、いまでは植林を管理する人手もないような状態になっているうえ、近年では再エネ開発のために、メガソーラー計画などで里山の自然が侵されつつもあるわけです。
自然の複雑な森の維持・拡大のためには木の実を運ぶクマやオオカミなどの大型獣の存在はとても重要で、クマが街におりてくるのは、まさにその奥山や里山がエサ場として機能しなくなってきていることを示すわけです。
これでクマを殺してしまえば、自然林を拡大してくれる大型獣が少なくなり、森自体が弱っていく、ということになります。
ケモノを養っている自然林・広葉樹林が縮小すれば、クマもまた市街地にエサを求めて降りていくしかなくなるわけです。
クマを殺せば、里山が弱り、山が弱れば、クマも街におりる。
去年もおととしも夏の暑さは異常でしたから、二年連続して、山の中の食糧が減ってしまったのでしょう。昨年は過去最多9000頭ものクマが捕殺されました。
しかも、いままでシカやイノシシだけだった「指定管理鳥獣」にクマも加えられてしまって、より一層「殺処分」のしやすい環境に法的にも変更されていたりします。
市街地まで下りてきたクマが、それこそスーパーの中に入っていくのも、ようはメガソーラーなどでエサがなくなってしまったからで、クマを殺してしまったら、森の縮小傾向はより一層ひどくなり、より一層都市部にクマがやってくるという問題解決からどんどん遠ざかって行ってしまう「逆方向」の対策に突っ走っているのが日本の現状なんですね。
●殺すしかない!
という答えばかりが取り上げられ、そういう解決策だけがテレビに蔓延してるのは「どうかしてるよなぁマスコミは」と思わざるを得ないのです。
せめて、「人間、日本人の側が自然を大きく毀損していること」こそがクマが市街地へ降りてくる、一番大きな理由なんだ、ということは、頭に入れておいてもバチは当たらないのになぁと思うんですよね。
ということで、
●日本熊森協会
https://kumamori.org/
もし良かったら入会を検討してみてください。
今日のメルマガはこれでおしまい。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.1204 -了- ]---------------