[1314号] ●バックナンバー一覧に戻る|←前号へ|次号へ→
「スーパーヒーロー映画」は、いやでも現実直視をせざるを得ない物語。この「現実直視」が出来ない「おこちゃま」は、スーパーヒーロー映画を好まないのです。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1314号●2025年3月23日(日)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
----------------------------------------
このメルマガは、
■「メモ・ノート・手帳を使いこなすためのStationery Book 42」■
をダウンロードくださった方を中心に、毎日発行でお届けしています。
読み落としがある場合は、メルマガ本文のすぐ後に、
バックナンバーページへのリンクがありますので、そちらからご確認ください。
----------------------------------------
読者さん、こんにちは。
今日も、ちょっとメルマガ発行が遅れてしまいました。申し訳ない。
ということで、今日は昨日の続きの話です。
昨日は「スーパーヒーロー映画を好きな人は、社会問題に関して知識も意見もしっかりしている」ということを書きました。
これはもう、ほんとうにそうなんです。びっくりするくらい意識が高いんですね。
で、それは「私は、スーパーヒーローにはなれない」という現実を、嫌でも直視するしかないという、スーパーヒーロー映画が持つ、基本構造がそうさせるのだ、と書きました。
これは、
●映画は架空の世界であって、現実とは一切関係がない。
という現実と物語世界を峻別する、重要なルールなわけです。スーパーヒーロー映画を好む人は、この重要ルールを「常識」として受け入れた上で映画を鑑賞しているわけです。
で、この「現実と物語世界の峻別」がキチンと整っていると、実は映画を「テーマを語るメタファーとしての物語」として読み解くことがラクラク、簡単にできるようになるんですね。
そもそも、映画というのは「メタファーとメタファーの関係性のドラマ」なんです。
代表例で言うと、ゴジラというのは「原子爆弾の恐怖」のメタファーです。だから、初代ゴジラは当時の日本人にあそこまでウケたわけです。
しかし、原子爆弾を「戦争を終わらせたヒーロー」としてあがめていた当時のアメリカでは、初代ゴジラの話は受け入れがたい話なので、最初のゴジラはアメリカでの公開時には放射能の恐怖などに関するエピソードは大幅に削られて、ストーリーも主人公すらも変更して公開されました。
スーパーヒーロー映画でも、「Xメン」というシリーズは、もともと生まれながらにして特殊能力を持つ「ミュータント」の物語なのですが、この「生まれながらの個性」という設定が、たとえばLGBTなどの性的マイノリティなどの立場のメタファーになっていて、一般の人達から排除されたり差別される、という深いテーマを描くことに成功していたわけです。
こういう登場人物などを「メタファー」として捉え、より深い社会問題などを描くということがやりやすいのが、そもそも「スーパーヒーロー映画」の特徴なわけです。
で、この特徴は、もともとコミックス(≒マンガ)という表現媒体が持つ特性でもありました。
風刺漫画などは、そもそも社会の在り方を笑う、というスタンスで描かれたものですし、マンガ、コミックスという表現の根底に流れている本質的な「機能」なのです。
この本質的な「機能」が、CGという最先端技術によって、とてもリアルな表現として結実したのが、「スーパーヒーロー映画」なんですね。しかも、表現は「リアル」だけれども、永遠に「主人公と自分を同一視する」というような現実と架空の境界をあいまいにすることができない、「現実との峻別性」も保っているわけです。
そもそも「スーパーヒーロー映画」というものは、そういう特性があるがゆえに「映像中毒」になりようがないんですね。
●映像世界に引きこもれない
これこそがスーパーヒーロー映画の特性であり、すでに「映像中毒=引きこもり」になっている人には、現実直視があまりに辛く、どうしても見る気になれない、ということにもなりやすい表現形式なわけです。
日本でスーパーヒーロー映画がウケないのは、こういう事情がかなり大きく影響しているよなぁと僕は思っています。
そもそも「俺はヒーローなんかじゃないんだ」という現実直視すらできない「おこちゃま」ばかりが、日本の映画ファンの大半なんだろうな、というのが、僕の最近の認識だったりするんですね。
なので、最近はやたらと「スーパーヒーロー映画は観なければならない作品群だ」としつこく、何度も、繰り返し、くどいくらいにアピールしてるんですね。
●スーパーヒーロー映画を観れない人は、現実直視を嫌がる、「おこちゃま」なのだ
ということなんです。
もっとみんな、社会の実態を知った、大人になろうよ、ということが僕は言いたいんですけどね。
ま、そんなことで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.1314 -了- ]---------------