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実は「WEEK」はローマ字専用で、かな入力には一切対応しておりません。なぜでしょう? その理由をお話します。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1333号●2025年4月11日(金)
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読者さん、こんにちは。
さて、今日もまた、タイピング練習ソフト「WEEK」に関するお話です。

WEEKの一番の特徴というか、目指している「理念」のようなものは、

●最短期間でどんな人でも完全なブラインドタッチで文章入力できるようになる。

ということなんです。

で、この「最短期間」ということにこだわっているので、実はWEEKには、一般的なタイピング練習ソフトには標準でサポートされている、

●JISかな

の練習が一切ありません。
(いや、それどころか、数字の練習も、アルファベットの練習もないんです。が、これはまた別の話なので、別の機会に説明します。)

この「JISかなの練習がない」というのは、なぜかというと、

●JISかなブラインドタッチは習得の手間が大きすぎる割に、デメリットが高すぎる。

ということが理由です。

「習得の手間」と書きましたが、この「手間」が何か?というと、まずなにより

●覚えなければならないキーの数が多すぎる

ということがあります。
単純にひらかなは「50音」と言うくらいですから、ほぼほぼキーの数は50個はあるわけです。(キーの種類としては46)
これに引き換えローマ字はアルファベットを使うわけですから26字で済む、というのが一般論なわけです。

この「一般論」だけでも、多くの人が「JISかな」を覚えるのをやめて「ローマ字」にする、と決めることが多いので、「それは良いことだなぁ」と僕は思うんです。ローマ字だろうが、JISかなだろうが、結果的には「文章」を書くために使う事が大半なわけです。同じ結果を得るだけなら、手間のかからない方を選んだ方がお得なのは自明の理でしょう。

しかし、これはあくまで一般論であって、現実というのはもうちょっと違っているんですね。

実はローマ字入力で日本語の文章を打つためには、たとえば「Q」とか、「V」とか、「C」とか「J」とかは使わなくても良いわけです。
なので、実際にはアルファベットで覚えないといけないキーの数はなんと「20キー」しかないんですね。(LもXも使わない、という前提。この二つは本当はどっちかは使います。小さい「ぁ」とかの入力用です。)

46対26だと半分程度ですが、子細に検討すると46対20で半分以下になるわけです。

ただ、実際には、文章入力においては、「キー」の「-」と伸ばす音の「-」とか、「、。(テン、マル)」の句読点とかも打てないと実用的ではないので、こういう記号なども覚えないといけません。
ただこれは「かな」も「ローマ字」も同じ事なわけです。

で、実は問題はここからで、僕自身最小は「JISかな」のブラインドタッチを先に身に付けたんですね。そうすると、このJISかなでは小さい「ぁ」や「っ」などはシフトを押しながらでないと入力できないので、このあたりの入力の仕方も練習しないと日本語の文章というのは書けないわけです。なので、

●現実的には46キー+シフト操作

の手間がかかるわけです。

ということなので、JISかなを習得するにはキー操作自体に複雑さがあるので、実際の習得時間で見ると、なんとなんと、毎日40分ぐらい練習してまるまる1か月かかったわけです。(実際には1か月+1週間くらい)

ローマ字入力だと毎日1時間練習で1週間あれば余裕ですから、実際の習得の手間はキーの数よりうんと時間がかかって、

●JISかな習得は、ローマ字入力に比べて4倍~5倍の練習期間が必要になる

わけです。
これだけでも「JISかな」はデメリットが多いわけですが、実用上で大問題になるのは、

●JISかな配列を覚えても、アルファベットは別に覚えないと使えない

という大問題があるわけです。

実は日本語というのは表記がとても柔軟な言語でして、たとえばホンダとかヤマハとかの企業名を普通に日本語文章の中に「HONDA」とか「YAMAHA」とか混在して表記するんですね。
僕はコピーライターだったので、企業名を書く時にはアルファベットで書くという事をする必要があったわけです。

たとえばホンダの正式名称は「本田技研工業株式会社」ですが、これだと長ったらしいし、カタカナで「ホンダ」と書くと、ほかにも同じ社名の企業があるかもしれないし、個人の苗字を特定されないように「ホンダ」とカタカナ表記したりもしますから、紛らわしいわけです。でも HONDA とアルファベット表記にすると、正式な企業ロゴが「HONDA」とつづられているので、違和感が少ないんですね。

他にも、パソコン関連の記事を書くなら、HTMLだの、AIだの、USBだのアルファベットのオンパレードになるでしょう。
だからいくら「JISかな」を覚えても、実際にはアルファベットもブラインドタッチができなければ実用上の役には立たないのです。

そうなると46キー+26キーで、72キーで、覚える手間がプラス3週間くらいは必要になってしまうわけです。
そうなるとJISかなで実用上問題のないタイピング練習は、2か月以上の時間がかかる、ということになるのです。

じゃあ、ローマ字入力は日本語入力に必要な20キー+アルファベット26文字になるか、というと、これは全然違います。当然ですよね。ローマ字入力はアルファベットキーを使って入力するわけですから、ローマ字入力を覚えている段階でアルファベット26文字のうち20字はすでにブラインドで打てる状態になっている、ということなんです。

だから現実的にはローマ字入力でアルファベット混在の日本語文章を書くためには、

20キー+6キー

を覚えればOKということになります。

なので覚えなければいけないキーの数、72対26キーで、習得すべきキーの数で、3倍近い差が出来てしまうんです。
だから、もう、圧倒的に、JISかなより、ローマ字入力の方が、習得期間が短いわけです。

しかも、もっと言うと、ローマ字入力を覚えた後に、アルファベットを覚えるというのは、

●専用の時間を取らず、文章を書く時に随時覚えれば充分

なんですね。そもそも「QJLXCV」という文字列自体の登場頻度自体がかなり少ないからなんです。
つまり「残りアルファベットの習得時間」に関しては、ほとんど「0ゼロ」に近いんです。なにせ使用頻度が低いキーですから、本当に打たなければならなくなったときに、この6文字だけは「見て打ち」にしても問題ない、というレベルなのです。

ここまで考えて比較すると、「JISかな」と「ローマ字入力」は比べること自体が無意味で、ブラインドタッチ習得なら、ローマ字入力一択だ、ということが分かると思います。

しかも、これに加えて、JISカナというのは、「よ」「わ」「を」「ほ」「へ」「け」「む」などのキーは、右手小指をかなり酷使しないと打てない位置に存在していて、右手の小指が腱鞘炎を起こす可能性すらあるわけです。(実際僕自身 JISかな入力で仕事をしていた時は、とてもいそがしくなった時に腱鞘炎になってしまいました。)

これだけデメリットの多いJISかな入力なんですが、それでもまだまだ「JISかな」でブラインドタッチを覚えたいという人はけっこうな数がいて、そしてその理由が、実は「キーボードに平仮名が書いてあるから、分からない時に打ちやすい」という理由なわけです。

まさに「見て打ち」をしたいから JISかな でないと困る、という理由なわけです。
まったく、そういう理由で JISかな を選んでいるのでは、百年たっても「ブラインドタッチ」にはなれないわけです。

ということで、JISかな入力に関しては

●キー数が多くて習得に時間がかかる
●完全別建てで、アルファベットも覚えなければならない
●右手小指のキー割り当てが多すぎて、炎症を起こす
●根本的に「見て打ち」を誘発する設計である
●日本語入力に関してはローマ字で完全にカバーできる

という観点から、WEEKの練習課題からは完全排除しているのです。

ということで、今日のメルマガは「WEEKにJISかながラインアップされていない理由」についてお知らせしました。
今日のメルマガはここまで。
では、また明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.1333 -了- ]---------------


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