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「タイピング習得の能力測定」を「入力スピード」にするのは根本的に間違いです。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1339号●2025年4月17日(木)
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読者さん、こんにちは。
昨日はタイピング習得において「入力スピード」が能力判定の基準になっていることが、「間違った目標設定なのだ」という話をしました。
細かいことはいろいろあるのですが、一度冷静になって良く考えて欲しいのですが、「入力速度」が判定基準になっているのは、そういう「検定試験」が世の中に多く、しかもそれらが「就職に有利」と考えられているからです。
実際に現在存在している検定試験を見てみると、
■タイピング能力検定試験いろいろ
日本情報処理検定協会主催
●文章入力スピード認定試験
●日本語ワープロ検定試験
日本商工会議所主催
●キータッチ2000
日本タイピング協会のタイピング検定
●日本語入力検定
●タッチタイプ検定
イータイピング株式会社主催
●タイピング技能検定イータイピング・マスター
などがあるのですが、このどれもが「入力スピード」で順位判定をしているのです。
しかし、これらの判定試験のほとんどは、「タイピスト」としての能力を測るための試験なんですね。
つまり、与えられた文章を入力して、その書かれている文章内容と入力結果が一致しているかどうか?ということを見ているわけです。
確かに、そういう観点でタイピング能力の正確性や入力の効率性などのある程度の把握はできるかも知れません。
しかし、いったい今の時代、だれが「タイピスト」になりたいと思っているのでしょうか?
「与えられた文章を正確にタイピングする能力」が必要だった時代っていつの話でしょう?
いまの時代に求められているタイピングの能力となると、
●ネット通販でお客様からの問い合わせに答える能力
●WEBデザイナーとして、テキスト修正を手早く行う能力
●ソフトウェア開発でプログラミングを自在に行える能力
●AI機能を使いこなすためにプロンプト(質問文)を適切に作れる能力
●独立系ひとり起業家としてコンテンツ制作を行うための能力
が実際的には一番必要としている「業種」ではないでしょうか?
これらの仕事ではPCを仕事の道具として使う事が大前提になっており、PC活用の一部としてタイピングが必要になる、ということがほとんどです。誰も「決められた文章を正確に写す」なんてことはしていません。
で、この「決められた文章を超高速でテキスト化」している一番端的な例は、
●テレビの生放送で、タレントがしゃべった言葉を字幕として放送する
という業務です。
最近は僕はテレビはほとんど見ていませんが、病院などでの待ち時間にテレビを見ているとワイドショーなどで、この「字幕放送」がよく流れているのです。音声を絞ってロビーで流すには最適な方法ですから。
実は人間がしゃべる速度というのは、とんでもなく早いのであって、それをテキスト化する、というのは、通常のPCのキーボードで入力することは無理なんですね。
なので、ひと昔前のテレビの放送局では、あの字幕を表示させるための専門の「タイピスト」を用意していましたし、彼ら、彼女らが使っていたのはパソコンではなく専用の「字幕入力専用装置」でした。
本当に「入力スピード」を求めるなら、そこまでしないといけないわけです。
そして、いまその「字幕表示」は「音声認識+AI認識」が行っていて、オペレーターは誤認識を修正する程度になっているわけです。
はたしてこういう状況で「タイピスト能力の認定」を前提とした「入力スピードでの判定」に意味があるでしょうか?
そして、そういう事以前に昔から言われているのが、
●人間が文章を考える速度より速く打てても意味はない
という肝心かなめの問題です。
先に挙げた「いま現在タイピングが求められている職業・業種」は、ほぼすべて、「自分の頭で考えた言葉を的確にディスプレイに表示させる」ということが最優先で必要なのであって、それは「入力スピード」は、それほど重視されていない、ということなんです。
なので、世間的にタイピング能力というと、すぐに「入力スピードが」と速度ばかりを取り上げているのは、かなり実情と合っていない判定だ、ということになります。
最初に挙げた「タイピング能力判定試験」などは、そういう意味でいくと僕からすれば「お笑い資格試験」のようなものです。
無意味に超高速な入力速度を誇っている「キーボード入力速度日本一」の人が「いかに素早く入力できるか?」というような技術をネットで公開しているようなWEBページがあったのですが、ただひたすら苦笑いするしかありませんでした。
●自分で文章を考えるスピードより速く打てる。
そんな能力は、だれも欲していないだろうと思うのです。そうではなくて、みんなが望んでいるのは、
●自分で考えた言葉が自動的に画面に出る。
ということなんじゃないの? と思うわけです。
ゆっくりじっくり頭の中で文章を練って、その文章を確定したい時に、キーボードを見ずにパソコンのディスプレイを見ていたら、思ったとおりの文章がそこに現れる感覚。
これこそが、誰もが望んでいる「タイピング能力」なのではないですかね?
そこに「スピード」は、ほぼほぼ関係ないんですよ。いや、ほんと。
ということで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。
--------------[KID'S SIGNAL No.1339 -了- ]---------------