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ブラインドタッチの圧倒的優位性は「編集しながら文章を書ける」という点にあります。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1370号●2025年5月18日(日)
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読者さん、こんにちは。
ということで、続いて本日2通目のメルマガです。
(しかし、やはり、人差し指がちゃんと使えると、タイピングのラクさ加減が全然違います。あたりまえか。)

で、1通目のメルマガにも書きましたが、いま、タイピング練習ソフト「WEEK」の販売ページをまとめて行ってるわけですが、世間的にタイピングが苦手な人がブラインドタッチの練習を避けるために言う「言い訳」で強力な力を持っているのが、

「音声入力が進歩してるんだからタイピング技術なんかいらないよ」

という主張です。

これねぇ、一時期は僕も「音声入力があればブラインドタッチは要らないかな?」とも一瞬は思ったこともあるんです。
でも、自分でも音声入力を積極的に使うようになってきて、音声入力とブラインドタッチの根本的な違いを体感しまして、

●やっぱり文章入力にはブラインドタッチ以外に方法はない

と確信するに至りました。

実際、音声入力をこのメルマガの入力用に使ったりもしてきて、良く分かったのは、音声入力は、

1.近年、性能が上がって誤変換が減り、とても有用になってきた。
2.入力スピードに関してはブラインドタッチよりも圧倒的に早い。

という2つの特性が顕著になってきた、ということです。
この二つの特性があるので、カジュアルな日常使いではかなり有用になってきた、というのは確かでしょう。
ちょっとしたグーグル検索などでは、もう音声入力の方が便利だと感じている人も多いかも知れません。

しかし、実際に音声入力をメルマガ作成に使っていると、結局はブラインドタッチで入力して仕上げる方が便利なので、音声入力の使用頻度はそれほど高くなかったりするんですね。

これはなんでかなぁと最初は良く分かってなかったんですけど、とどのつまりは、

●音声入力では、入力した文章の手直しを音声で行えない

というのが致命的に不便だ、と気づいたわけです。
ブラインドタッチでエディタやワープロの編集機能のあるツールで文章を書いていれば、

・文章の前後の入れ替え
・てにをはの変更
・言い回しを少し変える
・文と文の間に文を差し込む

などの作業は苦も無く、屁とも思わず瞬時にやれるわけです。

ところがこれを音声入力でやろうとすると、一切、まったく、全然できないわけです。

で、一時期、テキスト編集ツールであるエディタ上で音声入力を活用しながら、編集による切り貼りとテキスト入力(音声入力)を並行してやる、ということを試してみたこともあるんです。

でも、「てにをは」の変更などは単音で「は」とか「が」とかを入力しなければならず、それは音声入力の仕組みにおいては全然うまく使えないわけです。「私は」の「は」は、表記は「は」ですが、音としては「わ」なわけで、もうとてもじゃないですけど、

●文章の部分変更でのテキスト入力に音声入力は使えない

わけです。

実際に音声入力をいろいろ試した限りでは、

●頭から終わりまで、メルマガ一回分を全部しゃべりきり、それを後からエディタ(ワープロ)でテキスト編集する

というやり方が一番効率的でした。
音声入力だと誤変換もそれなりに出ますし、各種の切り貼りもまとめて一気にやってしまった方が圧倒的に効率的なわけです。

で、効率的ではあるんですが、やはり「一気しゃべり」をテキストとして整えただけだと、言い回しで不適切なところを適切なものに変えるとかするうちにどうしても内容が「浅く」感じてしまうんですね。

例えば、僕の人差し指の回復の話にしても、音声入力だと「人差し指が使えるようになって不便が解消されてイライラが消えました」としか書けないんですね。自分の体験に基づいたことをしゃべるとスルスル出てくるので、これはこれで共感は得やすい表現です。

しかし、これがブラインドタッチで文章入力すると、「やはり役割分担の決まった、全ての指を使い分けられるのは、ラクで快適です。」というような少し抽象度を上げた表現が可能になります。

この文章のキモは「役割分担の決まったすべての指」という表現ですね。これは一度文章を思いつくまま書いた後に前後を入れ替えて、「指」の就職後として「役割分担の決まった」を修飾語としてあてはめた文章なわけです。
こういうテクニカルなことは音声入力ではできませんし、こういうテクニカルな部分がないと、文章は読んでいても面白みを感じにくいんですね。

これは「話し言葉と書き言葉」の埋めがたい溝だろうと思いますし、この「抽象度を上げた捉え方」こそが文章表現の本質だろうとも思うわけです。

で。

これだけでもブラインドタッチによる「編集しながら入力」の方に優位性があるのは分かると思うのですが、この数年で、この差が圧倒的になった出来事があります。

それが

●AIの活用

です。

AIは各社でさまざまなものが登場してきていますが、基本的にはどこのAIであれ、応答は「文章」で行うわけです。

当然各種AIはたいていは音声入力にも対応しているのでしょうが、AIに命令を下す「指示書」は通常書き言葉でして、その命令文章のことを「プロンプト」と呼んだりしています。

ネットの宣伝広告などを見ていると、この「命令文」をどんな内容にすればAIの効率的な答えが得られるかの「プロンプト集」などがWEBマーケティングの有力な目玉商品や人気のオマケ商品になっていたりします。

つまり「AIとのやりとりを効率化する」ということが重要なスキルになりつつあるわけですね。

で、実際、僕もWEEKを作るに際して、プログラミング技術が足りていないところをAIに補ってもらい、「こんなこんな機能を持ったプログラムを書いて」という命令書を何度も何度も書いたわけです。

で、それは編集しながら書く、というスタイルで試行錯誤するのが一番効率的でしたし、それはやはりブラインドタッチで質問文を変更・修正しながら書くのが効率的だったし、狙い通りの答えを得るにはそれが一番だったわけです。

だから、ほんとうに、これからのAI時代、ブラインドタッチは超重要になっていくなと、つくづく思ったわけです。

先に書いた、音声入力とブラインドタッチの表現差の例、

●音声:「人差し指が使えるようになって不便が解消されてイライラが消えました」
●打鍵:「やはり役割分担の決まった、全ての指を使い分けられるのは、ラクで快適です。」

この二つをAIに投げかけても、音声入力文だと、AIはせいぜい

「そうですね。指が一本使えないのは不便ですね。指の機能が戻って良かったですね」

と返答するのが関の山でしょう。
しかし、ブラインドタッチで書いた「やはり役割分担の決まった、全ての指を使い分けられるのは、ラクで快適です。」という表現なら、

「そうですね、左手の人差し指の担当しているキーはR,T,F,G,V,Bと数が多いですから、使えないと不便でしょう。中指の負担が解消されて良かったですね。」

くらいまでは返答を具体的に返してくれるだろうと考えられます。

音声入力とブラインドタッチの違いは、こういうところに出てきます。
なので、これからはブラインドタッチこそが重要だよなと、しみじみと感じているところなのです。

ということで、今日二通目のメルマガはここまで。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.1370 -了- ]---------------


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