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「実際の効率はともかく、すばやく実行して頭の中をスッキリさせる」っていうのは、あわてものでバカというだけの話なんじゃないでしょうか。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第1451号●2025年8月7日(木)
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読者さん、こんにちは。
今日は、昨日ご紹介した書籍

●締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか 「先延ばし」と「前倒し」の心理学 (光文社新書 1355) 新書 - 2025/4/16
https://amzn.to/46KsA1o

からの内容紹介と、その情報に対する考察です。とても興味深い実験が紹介されていたので取り上げてみたいのです。

この「なぜつま」(昨日とおなじくタイトルが長いので「なぜつま」と省略させてもらいます。)は、「先延ばし」と「前倒し」に関する考察がいろいろ紹介されている書籍で、基本的には学術的な実験結果をもとに、現実の仕事の現場に存在している「先延ばし派」と「前倒し派」が、どう協力しあうべきか? ということが書かれている本なわけです。

ただ、著者自身が述べているのですが「書いている私自身がかなりの前倒し派」なのだそうで、この「なぜつま」一冊を読んでいても「ああ、前倒し派なんだなぁ」と思うばかりで、完全な「先延ばし派」である僕から見ると、「衝動に突き動かされているだけのあわてもの」というようにしか見えないわけです。

僕の立場から「仮説」を立論するなら、

●先延ばしは熟考しようとする態度であり、前倒しは「考えることの否定」なので、前倒しは極力避けるべきこと

にしかならないわけです。
もちろん現実の仕事などでは締め切りがありますから、その時間内に作業は収めなければなりませんが、それでも仕事を進めている過程で、その取り掛かった仕事自体に意味がない、などの発見があった時には作業をせずに撤退することの方が重要になることもあるわけです。

そこまでの「考え」を巡らせることこそが仕事なのであって、いかなる条件であっても、「前倒し」は十中八九、「考えなしの愚かな選択」であることの方がはるかに多い、と僕は感じているわけです。

で、この書籍を読んでいると、まさに僕の考えを証明するような実験が掲載されていました。
それが「ローゼンバウムのバケツ運び実験」でして、その内容はこういうものでした。

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長さ5mほどの廊下。両端をスタート地点とゴール地点として、間にバケツAとBが距離を開けて置かれている。
バケツAはスタート地点に近い位置、バケツBはゴール地点に近い位置にある。
あなたは、スタート地点に立って、A、Bどちらかひとつのバケツを持って、ゴール地点に来てください。
(2つのバケツは両方とも空で、重さもまったく同じです)
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という課題を多くの被験者に履行してもらったわけです。
当初ローゼンバウムたちは、「ゴールに近いバケツBを運ぶ人がほとんどだろう」と考えていたのですが、実際には違いました。
多くの被験者がゴールから遠いバケツAを手にしてゴールしたのです。

「え? なんで?」

と思いません? 多くの被験者が、運ぶ距離が遠い方のバケツAを手にして、ゴール地点まで移動させたのです。
これはバケツの位置をいろいろに変えても(バケツ2つの位置を近づけたり、スタート近くに二つを少し離しておいたり、ゴール近くに二つを置いたりしたそうです)変化はなく、つねに「遠い方のバケツ」を選ぶ人の方が多かったわけです。

で、これはなぜだ? という考察がはじまって、いちおう、

●頭の中に「課題(バケツを運ぶ)」をずっと仮置きしていることを嫌う

ためではないか? という仮説が出てきたわけです。
つまり、

「近い方のバケツを持ってしまえば、もう課題を意識する必要がなくなる」

ということですね。
仮に、スタートから遠い方のバケツBを選んでしまうと、バケツBに到着するまでずっと「バケツを運ばなきゃ」という課題を意識しておかないといけません。それは、頭の中のワーキングメモリに「バケツを運ぶ」というタスクを常駐させ続ける、ということで、それは精神的に負担だ、と考える、ということなわけです。

僕は、この「仮説」は正しいと思うんですよね。

で、この「なぜつま」では、この意外な事実を「前倒し現象」として命名して、さまざまな「前倒し現象」を確かめるための実験などが、行われてきたことが、紹介されているんです。

うーん。
でもね。

僕はその後のさまざまな実験はどうでもよくて、このローゼンバウムの実験ひとつで、ものすごく単純な事実を理解したわけです。

「ワーキングメモリに課題を置いておくことが負担」というのは、要するに「考えることが嫌い」ということじゃんか、と。

●それって普通、「バカ」って言うんじゃない?

ということなんです。
先にバケツを手にしてしまえば、もう考えなくてもいいわけです。だから目の前のバケツに飛びつく。
世間に良くあるバカの反応そのものですやん。
で、世の中「じっくり考える人より目の前の解決策に飛びつく人の方が多い」っていうのも、ごくごく一般的な状況なんじゃないですかね?
まぁ、「世の中バカの方が多い」というのが実験で証明されたのは良い事だと思いますが、それを「前倒し派」とか名付けて研究することに意味があるのかなぁと僕は思ってしまう。

「前倒し派」とか妙な名前はつけずに「バカ」だけでいいんじゃないでしょうか? その方が話は分かりやすいと思う。

ああ、また問題発言をしてしまいましたかねぇ。うーん。
僕はやっぱり「あわてもの」は単純にバカなんだと思うんですけどねぇ。
違うのかなぁ。

●考えるのを早くやめたいから、衝動的行動をチョイスする。

なわけですから、「バカ」そのものだと思うんだけど。

ということで、今日はまた、昨日の続きの「なぜつま」に関する考察でした。
ま、いろいろ面白い科学の最新の実験結果が載っていて、なかなか面白い本ではありました。
ではでは、また明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.1451 -了- ]---------------


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