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映画の入場料って高いと思いませんか? 実は冷静に考えると欧米の4倍もの金額を支払っているのと同じことなのだ、という話をします。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第920号●2024年2月21日(水)
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読者さん、こんにちは。
先日、スーパーヒーロー映画を見ることは、現代人の基礎素養だ、という話をしました。その時に話の流れの中で、

●映画の入場料については思うこともあるので、また書きます。

と書いておりました。その話を今日は書きます。

映画館の入場料は、日本ではおおむね、大人一人1800円です。
もちろんさまざまな割引がありますから、これより安い値段で入れる場合も多いのですが、何も考えずに、映画館の近く(巨大モールなど)にフラリと立ち寄って、「時間もあるしちょっと見るか」と購入するなら、だいたいこの値段になります。

では、欧米、とくにアメリカではいくらぐらいか? というと、900円~1300円と言われていて、この価格幅は、劇場(複数スクリーンを持つシネコン)の規模や位置、地域環境(住民の数や繁華街かどうかなど)でかなり変動があるからだそうです。しかし、おおむね1000円前後と考えれば間違ってはいないと思います。

ということですので、
●日本   1800円
●アメリカ 1000円
という価格差で、「日本の映画の入場料は欧米の倍程度」という話になっています。

これ、すでに通説でして、日本の映画業界の人は押しなべて「アメリカはだいたい日本の半額くらいらしいよ。」と言っているようです。
で、「ちょっと高いよねー」とか「まぁアメリカの二倍までしないんならいいんじゃない?」とか言ってたりするんですね。

でもね、僕は「それはちがーーーーう! 君らは間違っとるぞーーーー!」と声を大にして言いたいわけです。

というのは、アメリカと日本では、そもそも「レート」に大きな開きがあるからです。
どんな開きか? というと、

●収入の平均額が日本とアメリカで倍以上違う

という話なんです。

手元の資料で見ると、

●初任給(ボーナス含まず) 日本:253万円 アメリカ:562万円
●初任給(ボーナス等含む) 日本:327万円 アメリカ:784万円以上(さまざまな特典がある)
●平均年収 日本:443万円 アメリカ:1,392万円

となっているので、おおむね倍以上、平均年収で見ると3倍近い数値になっている、ということなんです。
これは、ありとあらゆる「物価」に反映されています。
なので、いろいろな物価を比較しても、以下のように、

●ディズニー チケット 日本:10,900円 アメリカ:22,960円
●アマプラ 年会費 日本:5,900円 アメリカ:18,900円
●ビッグ マック 日本:450円 アメリカ:800円
●丸亀製麺 かけうどん 日本:390円 アメリカ:840円
●一風堂 ラーメン 日本:820円 アメリカ:3,000円
●はま寿司 ウ二軍艦 日本:150円 アメリカ:1,390円

と、アメリカでは、いろいろな商品が、おおむね日本の価格の倍くらいの値段で取引されているということです。
(はま寿司と一風堂は寿司・ラーメン人気に便乗して、ちょっと高すぎの値段をつけてますね。)

では、ここに映画の入場料を並べてみると

●映画の入場料   日本 :1800円 アメリカ 1000円

となりまして、完全に逆ザヤだ、ということがわかると思います。
つまり、

●なんでも倍くらいの値段で流通しているアメリカの商品の中で、映画館の入場料だけ日本の方が倍の価格

ということなんです。

これどういうことかというと、為替レートの影響で、日本人は「実感」としてアメリカの4倍くらいの価格で映画を観てる、ということになるんです。

たとえば、アメリカの入場料1000円というのはアメリカのビッグマック800円というのと、同程度の価格です。そのビッグマックは日本では450円です。だから、アメリカの人は、日本人の感覚で言うとビッグマック一個程度の値段で映画を観ているのだから、日本人の金銭感覚で言うと、まぁせいぜい500円程度、ということです。

●アメリカ人にとって映画は、日本人のビッグマック500円程度の価格。

ということです。
逆に、日本の映画入場料1800円というのは、価格レートを換算すれば、アメリカ市場では倍額と考えれば3600円程度の価値があります。
おそらく、日常的には利用しない、ちょっと高めのランチくらいの値段でしょう。有名ブランドのワイン1本とか、そんな価格感かもしれません。

日本とアメリカの映画入場料の価格差は、この例で見れば、ビッグマック一個と有名ブランドワイン一瓶くらいの価格差はあるということ。

つまりアメリカ人は、日本人がビッグマックをパクつく感覚で気軽に映画を観ていて、日本人は、アメリカ人がちょっと高級なレストランで一食ランチを食べるくらいの値段で映画を観ている、ということなんです。
ま、簡易な椅子で食事をするのと、しっかりしたテーブルで食事をする、くらいの価格差が生まれているってことです。
単純比較をするなら、この「実感の差」に関しては4倍程度の価値観の差が生まれているってことなんですね。

この大変な価格差のせいで、実は日本の映画人口はそれほど多くはありません。また映画館(スクリーンの数)もかなり少ないんですね。

こういう「逆ザヤ」現象が生まれているジャンルは、おおむね健全とは言えません。
かなりいろいろ問題が山積してるだろうなぁと容易に想像がつきます。

まぁまだまだ書きたいことはほかにもいろいろあるのですが、とにかく映画の料金は「逆ザヤ」状態に陥っているので、日本においては、実際にはかなりキツく高い、高額商品が「映画館で映画を観る」という行為なのだ、ということなんですね。

ということで、この話の続きもあるんですけど、とりあえずは、ここまで。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.920 -了-]---------------


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