[924号] ●バックナンバー一覧に戻る←前号へ次号へ→

本当に頭に残る学習をするためには、上手に「手書き」を利用していくべきだよなぁと思います。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第924号●2024年2月25日(日)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

----------------------------------------
このメルマガは、

「メモ・ノート・手帳を使いこなすためのStationery Book 42」

をダウンロードくださった方を中心に、毎日発行でお届けしています。
「Stationery Book 42」の更新情報なども掲載しています。
それらの過去記事のまとめは、メルマガ本文のすぐあとにリンクを掲載しています。
----------------------------------------

読者さん、こんにちは。
今日は、前々からずっと書いている「デジタルメモより手書きメモの方が効果的」という話について、少し大きな視点で考えてみたいと思います。

まず、最初に再確認ですが、

●学習や打ち合わせなどでは、デジタルより手書きメモの方が記憶に定着しやすい。

という事実が、2014年の科学的な研究で実証されている、という話です。
これは、前にも書きましたし、今後も繰り返し引用しようと思っているのですが、


●「The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking」
~ペンはキーボードよりも強力です: ノートパソコンよりも手書きの利点~
(2014年5月22日発表)
パム・A・ミュラーとダニエル・M・オッペンハイマー


という論文がすべてを明らかにしてくれています。
大学の授業などでは、ノートパソコンで取ったメモの方が文字数そのものは多いし、授業後すぐにチェックすると、ノートパソコンでメモを取った学生の方が、より多くの知識を理解していたのですが、二週間あるいはそれ以降の「記憶の定着」という点においては、圧倒的に「手書きでメモを取った」方が優位性が高かった、という話なんです。

●「手書きメモ」は長期記憶に知識を書き込める

という風に理解すると良いのかな? と僕は考えています。

で、ここからは、僕なりの仮説の話をします。

そもそも、手書きでの文字の記帳は、パソコンやスマホに比べると圧倒的に遅いんですよ。これは自分で調べて驚いたのですが、とにかく遅い。日本語は漢字も入るから圧倒的に手書きが遅いんです。

なので、「手書きが長期記憶に残りやすい」というのは、この「記帳に超・時間がかかる」という点が影響しているに違いない、と考えているわけです。

僕の仮説では、

「あまりに記帳に時間が取られるので、見聞きした内容をいったん抽象概念に落とし込んだうえで、文章構造を単純化させ、一種の要約工程を経たうえでメモのキーワードとして記帳するよりほかに方法がない」

ということが原因で、学習した内容などが、長期記憶に残りやすくなるのではないか? と考えています。

で、こういう仮説を、実際のビジネスの現場でどう活用するか? なんですが、こういう実例があるんです。

ある企業が、会社の仕事内容をすべてデジタル化すべく、打ち合わせもすべてノートPC等でデジタル化し、社内のBBSなどで情報共有するような仕組みを作った会社が急激に売り上げを落としたという経験をしたんですね。
なので、その企業はあわてて、打ち合わせをすべて手書きのノートに戻したんだそうです。そうすると、成績も元に戻ったらしいんですね。

だから、やはり「打ち合わせ」は手書きのノートでやるということが、かなり大事なんだと思うわけです。

実際、僕も長らくコピーライターをしていますし、原稿はこうやってブラインドタッチでエディターにテキスト入力してるんですが、取材や打ち合わせは、必ず手書きのノートなんです。

これまでに何度もデジタルツールでのメモなどに挑戦もしてきましたが、「打ち合わせ」「取材」という部分は、どうしても手書きのノートでないと効果が薄いんですね。

じゃあ、原稿も手書きで書くか? と言ったら、これは絶対にあり得ないわけです。

●漢字の変換
●文字の修正
●文章の修正
●再読の効率
●文章構成の変更
●一文の中の構成要素の順序の入れ替え
●用語統一のための検索

などなどを考えれば、「ブラインドタッチでデジタル編集」以外の文章作りなんて考えられないわけです。
ここは圧倒していると思います。

だから「手書き」と「デジタル入力」というものは、賢く使い分ける必要があるんですね。
おおむね、

●学習・打ち合わせ・取材・アイディア出し・抽象的思索

には手書きが向いていて、

●文章執筆・企画書作成・クリエイティブの実作業

などにはデジタルが優位、

ということになるのだろうと考えています。

この話は、考えていくとドンドン深みにはまって複雑な話になってしまうので、今日はここまでにしておきます。
でも、デジタルとアナログの使い分け、ということに関しては、あまりしっかりと語っている人を見たことがないので、じっくり考えながら、またお話していければと思います。

ということで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.924 -了-]---------------


[924号] ●バックナンバー一覧に戻る←前号へ次号へ→