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「一本筆箱」番外編です。斉藤孝さんの「3色ボールペンの使い方」を購入しました。
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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第948号●2024年3月20日(水)
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読者さん、こんにちは。
今日も、「一本筆箱」についてのお話を続けようと思っていたのですが、先日、例の斉藤孝さんの「3色ボールペンの使い方」という書籍を未読だったことに気づいてネットで注文したのです。
で、昨日届きまして、さっそくパラパラっと目を通したのですが、そこにはとんでもないことが書かれていて、
「これは僕は参考にはできないなぁ」
と、忌避感が出てしまいました。
というのは、先日も書いたように、一般的に「3色ボールペン」というと、「黒、赤、青」なわけですが、斉藤孝さんの言う「3色ボールペン」は「赤、青、緑」と「黒色」が入っていないわけです。
ここが実はかなり特徴的で、斉藤孝さんはなんと「黒色は使わない」という人だったんですね。
まだちゃんと読み切ったわけではないんですけど、どうも斉藤さんは文章形式で書くときは「青色」を使っているらしいんです。
「いやー、それは抵抗あるわー」
と、思いました。
斉藤孝さん曰く、欧米ではブルーインクというのは一般的に使われていて、特にめずらしいものでもないし、斉藤さん自身、ボールペンの青色を使って人に手渡すような文章を書いていたりされるそうなのですが、青だから何か問題になったことはない、というお話でした。
でも、これ、
「いや、あんたは気にならんやろけど、俺は気にするよ。」
という話だと思う。
自分のノートとかが全部青色で書かれているところを想像したら、ゾッとして落ち着かなくなってしまいます。
多分、そもそも日本文化においては「墨文字で書く」という大前提があるからだと思うのですが、墨痕鮮やかに、真っ黒な文字を愛するという気持ちがあると思うんですよ。
薄墨になっただけで葬儀などの不吉なイメージを持ったりするし、「濃い黒」こそが「確定された標準的在り方」という気持ちがあると思います。
で、そういう気持ちがあるからこそ、あの三菱鉛筆が開発したジェットストリームが、あそこまで大売れして、世間を席巻したんだと思うわけです。
やはり「しっかりと黒い文字」というものへの愛着、というものが日本人にはあると思うんです。
青色ボールペンで書く、というのは、そういう日本人的文化を飛び越えてしまっていて、僕としてはちょっと抵抗が大きすぎてついていけません。
僕が斉藤孝さんの「3色ボールペンの使い方」を読んでいなかったのも、おそらく店頭で立ち読みしたときに、この「青で書く」という衝撃的事実に抵抗を覚えて、購入しなかったんじゃないか? と思います。
で、あまりにブッ飛んでたので、その内容自体を忘れてたんじゃないかなぁ。
あと、技術的な話をすると、そもそも多色扱いの多機能ボールペンというのは、油性ボールペンでしかできないんですね。というのは、水性ボールペンだとそれこそ「しっかり黒い」色を出すなどは自由に行えるものの、インク自体が「薄い」というか、容量がたくさん必要になるんですね。水性のインクは、容量を多めにしていても、すぐに中身が減ってしまうので、ある程度芯を太くしておくしかないわけです。だから水性ボールペンというのは「替え芯が太い」ものになるんです。
替え芯が太いと、これは多色ボールペンを作るのが難しい、という話になります。替え芯が太いと一本の軸に何本も替え芯を入れられないわけです。
しかし、油性ボールペンは、インクが「濃い」ので、細い替え芯でもたくさん書けるんですね。
細い芯だから、一本の軸に何本も収めることができてなので、基本的に多色多機能ボールペンは「油性」だったわけです。
(ちなみに、水性インクの多色ボールペンで5色などカスタマイズできるボールペンも販売されていますが、ガシガシ書いて覚える受験生の方などは「一日で替え芯一本なくなってしまう」と言うくらい、インクの減りが早いんです。あまり実用的とは言えません。)
ジェットストリームがあれだけ人気なのは、油性ボールペンの長持ちで芯も細いという特性を保ちながら、水性インクのような鮮やかな濃い黒となめらかな書き味を両立させたからでしょう。
やはりメモをとったり文章で誰かに連絡したりするには「濃い黒」でないと気持ちが落ち着かないというのが日本人ではないでしょうか。
(と言いつつ、僕は「鮮やかな黒」を求めるなら水性ボールペンを使った方が快適だと思うので、油性ボールペンの黒にあまり「濃さ」はもとめていないんです。インクの「濃さ」は、濃すぎると「ボテ・モレ」が出やすく、薄すぎると「カスレ」が出ますが、僕は「ボテ・モレ」は紙が汚れるので、「カスレ」に近い書き味の方が油性ボールペンでは安心して使えて好きなのです。)
油性ボールペンの場合は、インクの色の自由度も低いようで、水性ボールペンのような微妙な色合いのインクも作りにくいようです。
なので、油性ボールペンで万年筆のブルーブラックのような「渋い青」も期待できないだろうと思いますから、斉藤孝さんの「文章も青色で書く」というスタイルは、僕としては却下、ということにしておきます。
ノート全体が青色っていうのは、いやだなぁ、とにかく。
ということで、斉藤孝さんの斉藤孝さんの「3色ボールペンの使い方」は引き続き読んでみますが、僕の「一本筆箱」のノウハウとは重なりにくいのでお勧め本とはいたしません。
本日のメルマガは、とりあえずここまで。
ではまた明日、「一本筆箱」の話に戻ります。ではでは。
--------------[KID'S SIGNAL No.948 -了-]---------------