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いま、うちの地元では市議選の真っ最中なのですが、候補の多くがトンチンカンなので嫌になっています。

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[KID'S SIGNAL] キッズシグナル●第998号●2024年5月9日(木)
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読者さん、こんにちは。
この5月12日に、うちの地域では市会議員の投票があるんですね。
なので、毎日、選挙カーが家の近くまでやってきて、候補者の名前を連呼していくんです。

で、選挙公報ってものがありますよね? 候補者全員の主張が掲載されている新聞のような印刷物。

あれを見ていると、もう本当に読んでて嫌になってくるわけです。

だってもう、「私、経済の勉強やってません」と大恥をかくようなことを平気でボカスカ書いてあるからです。

たとえば、

●改革で生み出した財源で活力ある市政を創ります。
●稼ぐ力で市を再生。市の施設を民間に委託。
●議員定数・議員報酬の削減で予算を確保。

とか書いてある。

あかんやろ、そんなことしたら。アホか、と思うわけです。

まず「改革で生み出した財源」というのが一番あやしい。それは何かの予算を削って他に回す、という意味でしかないからです。
そんなことをやってたら、事業の継続性・一貫性もなくなるし、予算総額が変わらないのなら、何も変わることなんかないのです。

次に「稼ぐ力で市を再生する」なんて、ほんとうにやっちゃダメ、なんですね。
公共の地方自治体は「稼ぐ」なんてことをしてはダメなんです。市の施設は公共財なのであり、基本無償提供があたりまえです。有償にするなんて言語道断。

それから「議員定数・議員報酬の削減」を財源にするという発想。これも民主主義の原則に大きく違反しています。
議員の数は増やさないと「小さな意見」が反映されないのです。まぁ「増やせ」とは言いませんが「減らす」なんて許されない。

それから「議員報酬の削減」もやったらダメ。なぜか? これには二つ理由があって、議員報酬はストレートに地域にばらまかれる交付金の役割を担っているからです。地方議員は地方で生活するのですから、その報酬は結果的にその地方に還元されるわけです。だから、議員報酬を減らすということは、地域経済を弱らせることにしかなりません。

そもそもアメリカであれヨーロッパであれ、南米とか北欧とか、もう世界全国で、「景気が悪くなったら、その地域に公共施設を建て、職員を増やして、地域経済を下支えする」というのが経済政策の「いろはのい」になっているんです。こんなこと世界の常識だし、日本でも戦後すぐのころは、これが当たり前の常識だったんです。

こういうおかしなことがまかり通るようになったのは、財務省が「プライマリーバランスの黒字化(入ってきた税収の範囲で予算執行できるようにする)」を掲げて、「予算削減」ばかりを言うようになったのが原因です。

だから、市議が本来やるべきは、

●まともな市政を執行できるだけの地方交付金の徹底的要求

なんです。つまり

●国がもっと地方に金を出せ!

ということを言わないといけないってことなんですね。

そもそも、憲法の第25条第二項には、国の責任として、

●国は、すべて の生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

とありまして、「向上と増進」しないといけないと明記されているんです。

こんなもの「プライマリバランスの黒字化のために予算削減」とか言う事自体がとんでもない憲法違反なわけです。

この根本をだーれも言わない。分かってない。こんな重要なことを。
いやー、本当に困るんですよね。

これ、財務省がテレビの「政治バラエティ」みたいなところで「国の借金が大変だぁ」みたいな宣伝をやりまくって国民を洗脳してしまった結果なわけです。

ちなみに「国の借金がー」という話は学問的には完全な間違いであり、ウソそのものなので、そんな番組を放映してはいけないんですけど、重要なポイントは「バラエティ番組」として放映されているってこと。バラエティなら、「ひとつの意見」として放送しても問題なかったりするわけです。
もう本当にひどい。

新聞とかだと「社説」なんかが、こういう論調に染められてます。勘弁してくれよって思う。

ま、この話は長くなるので、ここまでにします。
お金の話に関しては、ブログの方で以下の3つの記事を書いてます。けっこう大事な話なので、ぜひ一度目を通してみてくださいね。
経済学というか「お金の仕組み」の基礎の基礎がわかりますので。

●【みんな大好き「お金の話」】お金って、どこで生まれているの? というお話。
https://kidscomp.exblog.jp/29969534/

●【みんな大好きお金の話】借金は、必ず誰かの資産です。どんなことがあっても。
https://kidscomp.exblog.jp/29969563/

●【みんな大好きお金の話】知っているようで知らない「二つのお金」紙幣と硬貨。
https://kidscomp.exblog.jp/29969569/

ということで、今日のメルマガはここまで。
ではまた明日。


--------------[KID'S SIGNAL No.998 -了-]---------------


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